超猫の日からのめまぐるしい日々、そして紙の本読書

 2022年2月22日はスーパーネコの日でしたね。

 では2222年2月22日はスーパーな上にスーパーなスーパーネコの日になるのでしょうか。

 本来であれば、超猫の日SSをこちらでさらっと書こうと思っていたのですが予想外に慌ただしくなってしまった年度末のめまぐるしさにSSに到達できませんでした。

 ただ、ねこの日SS書こうかなつぶやきをしてしまったので、何もしないのはむずむずしてしまうのでねこの日SS(スペシャルショート)・SS(ショートストリー)をつぶやきました。

 つぶやきは時の彼方にいずれ消え去ってしまいますので、備忘録としてこちらに転載しておきます。


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ねこの日SS?!「御注文はいかがなさいますか」「将軍様ブレンド八代目で」「お待たせしました。将軍様ブレンド八代目でございます」「これがかの珍香ジャワの逸品か」「はい。吉宗公がたいそう好まれた霊猫が産む豆のカウヒイにございます」「ネコが産んだ豆とはこれいかに」……写真はネコ科印の珈琲


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 ここに登場する霊猫とは麝香猫ジャコウネコのことです。

 ネコと付きますがネコ科ではなくジャコウネコ科です。

 麝香鹿、海狸、抹香鯨などと同じく香料を産する動物です。

 徳川八代将軍吉宗公が鎖国下に出島貿易で出入りしていたオランダ人から霊猫香の素晴らしさを喧伝されて興味を持ち、飼ってみることにしたのです。

 好事家が着目したのがこの香料を産する動物の仲間のジャコウネコの体内からいずるコーヒー豆です。いただいたことがあります。産出される状況からはイメージし難い繊細な香りと味わいでした。



 さて、ここのところのめまぐるしさの一因に移動に時間がとられてしまうということがあります。

 幸いなことに座っての移動が多いので、その時間は専ら読書に当てています。

 主に文庫本読書です。

 在宅時はハードカバーや大判の重い本、移動時は文庫本や軽め(文字通り重量が軽め)の本で読んでます。

 画面を目で追う読書は、その時々で。


 では、ここで、印象に残った本をあげます。前回同様ネタバレにならないようにしたいので、表面をなぞったような紹介になります、ご了承のほどを。


『廃帝綺譚』 宇月原晴明著 中央公論新社 2010年5月25日

 同作者の『安徳天皇漂海記』のスピンオフになります。4編入っています。いずれ劣らぬ面白さで、それぞれで長編書いて欲しいですよ、読みたいですよ、二次創作したいですよ、と思いました。

 「廃」という言葉はマイナスのイメージがありますが、廃されるものに漂う感傷的な雰囲気は人を惹きつけるものがあります。自ら望んで廃されるのではないからこそ生まれる感傷。時に望んで廃される側になるものもいますが、多くの場合よんどころない事情がつき纏うのではないでしょうか。


 この本で描かれている廃帝をご紹介します。

 

「北帰茫茫——元朝篇」:元朝最後の皇帝ドゴン・テムル。草原に生まれ皇帝の座に据えられたもののうまくゆかず、己の道として西蔵チベット密宗に傾倒するもののそれも虚しくなり草原に帰っていくこととなった。

「南海彷徨——明初篇」:建文帝朱允炆しゅいんぶん。叔父である後の永楽帝朱棣しゅていによって廃される。永楽帝朱棣は可愛がっていた甥を皇帝の座から追い落すことになり深く悩む。その心の傷を癒さんがためにある試みを名高い宦官鄭和に託す。

「禁城落陽——明末篇」:崇禎帝朱由検しゅゆけん。明朝の最後の皇帝。伝来の秘物秘法によって成されるとある不思議によって彼の愛する存在の命が救われる。

「大海絶歌——隠岐篇」:後鳥羽院。破れし夢を遠流の地で繕うとするも打ち砕かれる。

 

 いずれの物語にも、安徳天皇の物語から重要なアイテムとして登場している「神器」が関わっています。「神器」といえば三種の神器ですが、それに匹敵する第四の神器を歴史書の中に作者は見出し物語同士をつなげる要としたのです。この取り扱いには唸らされました。


 ところで、紙の本の悲しさに、本体の劣化があります。

 今回『安徳天皇漂海記』を書くに当たって作者がリスペクトしている澁澤龍彦著の『高丘親王航海記』が手元にあったのでページを開いたところ、あれ、なんか、読みにくい、確かに視力は落ちてるけれど、それにしても、んん? と思ってよく見ましたら、ページがセピア色に縁どられていて、印字されている部分もうっすらとペールブラウンに……焼けないようにカバーしてしまってあったのに、経年とは避けがたい病なのですね……


 次に、宅読みした本をご紹介。

『YOKAI NO SHIMA 日本の祝祭——万物に宿る神々の仮装』 シャルル・フレジェ著 青幻舎 2016年6月29日


 フランス人写真家による日本各地の神事祭事にまつわる扮装・仮装の写真集です。

 民俗学のファッションポートレートのような一冊です。

 衣装があまりにきれいといいましょうか清潔過ぎるので、それが少々興醒めな印象を醸し出してしまっているのが惜しいです。

 とはいえ、日本人であってもその土地に滞在しなければ知らないままの神事祭事に触れることができるのはよいなと思いました。

 本のタイトルは「妖怪の島」なわけですが、確かに取り上げられている写真を見ると、鬼や天狗、獅子、なまはげ、田の神等々、バラエティに富んだ妖怪変化が日本にはこんなにいたのかと興味深いです。

 


 では、皆さま、今日はこの辺で。







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