宝石箱に届いた手紙 六通目
ひきだしの向こうの君へ
お返事ありがとうございます。
お花とハーブの写真も、ありがとう。
ビオラとローズマリーね。どちらもこちらの世界では聞いたことないかな。だからきっと植物とかも違うのね。でも、ビオラは可愛くて、ローズマリーは綺麗。どんな匂いがするのかとか、想像すると楽しいな。
菊の発芽や、寄せ植えの写真も、楽しみにしてるね。
君が察した通り、この世界では太陽の運行は一年周期で、年の始めに日が昇って、年の暮れに日が沈みます。
そっちだと、一日周期なんてビックリ、え、毎日太陽が昇って、沈むなんて、ちょっとこちらじゃ想像出来ないや。
でも、日が昇る次はこちらでも朝と呼ぶし、日が沈む頃を夕と呼ぶよ。日が昇る頃五十日が朝、次の五十日が昼、次の五十日が夕、その後の五十日が夜で、二百日で一年。
同じところもあれば、違うところもあるね。
ああ、君はすごく良い子だあ。
大丈夫、分かってるんだよ、ちゃんと毎日勉強した方が良いことは!
ちなみに、一足早く遂に明日、魔法学の試験があります。ヒェッ! 演習はいけるけど、座学の方はそんなに得意とは言えないから、勉強してます!!(今は息抜きでお返事書いてるけど……)
この手紙書いたら、もうちょっと頑張ります。
君に言われて、そうかと気付いたけど、違う世界の君に送ってるんだから、こっちの世界では、手紙に書いたことは、誰にも知られないんだね。それじゃあ、秘密とかも打ち明けて行こうかな。
まずは、君が気にしていた、図書室で遇ったクラスメイトのことを少し。
前の手紙で宣言した通り、手紙を書いた次の日に改めて話しかけてみたよ。彼女は図書室で私を見かけた時みたいに、驚いた顔してました。
ちょっとふざけて、「本読むとか柄じゃないよね」って言ったら、本当に慌てて「そんなことない」って否定してくれて、ちょっと悪い事したかな? ま、でも本当に読書が好きって、普段の私とギャップがあるとはよく言われるのよね。だから、慣れっこなんだけどな。
それで、その子も歴史が好きなんだって。だから、すごく話が弾んじゃって!
その子は、結構大人しい子だと思ってたんだけど、好きなこと話す時は熱い子だったみたい!
諸々試験が終わったら、色々と面白そうな本を貸してくれるんだって! 私からも面白かった本をいくつか貸すつもり。
ふふん、新しくお友達になりましたとも!
ちなみに、その子本当に大人しい子だから、私と話してる様子を見て、他のクラスメイトもビックリしてたよ。
それでは、今回はこの辺で。
ひきだしのこちらから
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