Letters
橘月鈴呉
宝石箱に届いた手紙 一通目
ひきだしの向こうの君へ
初めまして。突然のお手紙、驚いたかと思います。
というか、ちゃんと届いてるでしょうか? ちょっと心配です。何しろ、私も初めてこのひきだしからお手紙出すので、ドキドキです。
このひきだし……というか、机は元々お祖父ちゃんの物でした。
このひきだしは異世界に繋がるんだよ、昔お祖父ちゃんはこのひきだしを通して異世界の人と文通したと、内緒で教えてくれました! 異世界と繋がる魔法なんて、聞いたことないし、というか異世界なんて非現実的なこと言ったら、それだけで笑われちゃう。だから、本当に内緒で。
それでお祖父ちゃんが、自分が死んだら形見としてくれると約束してくれました。それで、半年前にお祖父ちゃんが亡くなって、約束通り遺言で、私に形見としてくれました。お祖父ちゃんのこと大好きだったから、しばらく悲しくてお手紙出す気にならなかったんだけど、時間が経って落ち着いて来たので、お手紙を送ってみることにしました。ちゃんと、君のところに届いていると良いんだけど……。
ちょっと私のことも書きたいと思います。
私は十四歳の女の子。基礎学校の四年生です。勉強は、学問はそんなに得意じゃないかな。魔法はすごいわけじゃないけど、そこそこできるよ。でもそれより運動が好き。
テストの成績は良いわけじゃないけど、自分で興味を持ったことを調べるのは好き。本を読むのも好き。
君のことも知りたいです。
きちんと君に届いているのなら、良かったらお返事欲しいです。
それでは、今回はこの辺で。
ひきだしのこちらから。
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