友達

 僕は友達が少ない。幼なじみの倫典、くらいか?でも李仁と付き合ってから知り合い……李仁が言うには「友達」は増えた。というか勝手に会わされて増えた。

 でも大抵李仁と昔関係あった人たち(肉体関係とか元彼とか)もいるから複雑なんだけども。また李仁がその人にフラッとしてしまわないように僕は彼らと会う時は李仁の横にぴったりくっついてる。

「仲良いよね、ほんと君たち」

 と言われると、李仁は苦笑いしてる。僕は横で微笑んで手を握る。もう李仁は僕だけのものだからね、って言わんばかりに。

「そんなことしなくても、わたしはミナくん一筋なんだからね」

 って耳元で囁いてくれる。堂々と言ってよ。いつも人前で手を繋いだりキスしてくるくせに。

 だからこういう時だけは僕は積極的にみんなの前で李仁とイチャつく。李仁はハイハイ、と頭を撫でてくれた。

 李仁のいろんな友達と会うたびいろんな世界が見えた気がする。視野が広がった。いろんな職種の人がいるから。僕も高校教師として今の高校生のことや、教師たちの話をすると聞きたがる人もいたりして、昔より人と話すのが好きになった気もする。

 学校でも生徒に雑談という形で話す幅も広がった。生徒たちも僕がよく喋るようになった、と言ってくるようになった。その面では良かったのか?


 しかし、李仁の友達の一人……冬月シバという刑事だった男がいる。こいつは一時期剣道部のサポートをしてくれて、合宿で同室になってから深い仲になり、部活の顧問室で密かに愛を育んでいた。

 たまに李仁も含めて3人で遊んだこともあった。大体は夜の街でだけど。李仁にバレないようにシバとアイコンタクト取ったりもしたが、バレていた。


 それからはもう3人で遊ぶことはなくなった。そして李仁は結婚してからは僕には友達と会わせることは少なくなった。二人きりでもう僕だけ、と。やや束縛気味でもあるけど僕は手を握る。

「大丈夫、僕は李仁だけのものだから」

 と言いつつもこっそりシバと会っている。最低だ、ぼくは。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る