さよならは、言わないよ

 僕はぴったりと李仁に抱きついて眠る。すごく幸せ。

 落ち着くんだ。心臓の鼓動も聞こえ、彼の寝息も聞こえる。こんなに甘えても嫌な顔しない李仁が好き。


 僕は李仁が何処かへ行ってしまわないか怖くてさらにしがみつく。ふと夜に目が覚めるとどうしても不安になってしまうんだ。


「ミナくん?」

 あ、起こしちゃった……。寝ぼけた声、李仁は僕の頭を撫でてくれた。さらに彼は僕を抱き寄せてくれた。


「よしよし」

 起こしてしまったのに優しく撫でてくれる。僕はもっときつく抱きしめる。彼も抱き寄せてくれた。


 いつかどこかへいってしまうかもしれない、それをいつも思い浮かべてしまう。その度に涙が出る。嫌だよ。でもいつかは……。



 そのときは、さよならは言わないよ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る