★俺の行く末は
秋の公園、時間を弄ぶ。離婚もし、仕事も辞めた。
日本一の剣道の腕前だと言われた俺。
「剣道辞めるだなんて、あいつにはもったいない」
なんて、俺の人生にとやかくいう筋合いはないだろ。そこにメールが来た。
「どこにいるの」
夫のいるあいつから。
「大丈夫」
とそうでもないのに返信した、俺も俺だが。
また抱きしめたい。湊音。チビのくせにスタミナがすごく相性も良い。俺の腕の中で抱かれる時の顔はとても艶かしく、俺をしっかり見つめる細い瞳が可愛い、て俺と同い年の男なのだが愛おしく感じる。
男と関係を持つのは李仁に続いて二人目なのだが、李仁とは違う……お互いにノンケ同士だったがそれぞれ李仁を通してこの快楽を知ってしまった。
俺は特に湊音の体臭が好きだった。嗅ぎまくってたらやめろよって言われたが……なんかすごく落ち着くんだ。
だが湊音は李仁と結婚してから臭いが変わった気がする。嫌な臭いでなくて、とにかく変わった。
もうあいつは俺だけのものではないんだ、それを知った。李仁は湊音と結婚したのにも限らず、湊音と肉体関係をやめないでくれとか言った。バカじゃないか。
よく自分の愛する人を抱けだなんて言えるな。まぁ、抱いてやったさ。李仁が過労で倒れたときは湊音は泣き縋って俺を求めた。そんなあいつもバカだ。
そして次第に俺は湊音の臭いが嫌いになった。
だから離れた。
でも愛おしく感じる。なぜか。
あいつが結婚する前に使ってたタオル。なぜか俺は持っていた。ただ湊音の臭いが欲しかったから勝手にパクった。うっすら残る湊音の臭い。俺もバカだ。
俺はベンチから立った。さて、どこに行こう……。
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