駆逐まであと193日

 『コロナチャレンジ』といえば人間の皆さんが思い浮かべるのは、アメリカなどで流行った不特定多数が触れているドアノブなどを舐めるもので、接触感染をするコロナウイルスに自分だけは罹らないという意味不明な自信により、ロシアンルーレット的スリルを楽しむ? ものだろう。

 しかしコロナウイルスたちにとっての『コロナチャレンジ 』とは全く違ったものであった。


 今日もお手伝いの一環として、学校から帰ってきたコロナウイルスちゃんが郵送物を自宅に持ってきてくれていた。ほとんどが、親コロナウイルスに宛てての郵送物だが毎回何気なくチェックしてしまう。と、そこには珍しくコロナウイルスちゃん宛てに封筒があった。

「あっ、コロナチャレンジだ!!」

 コロナウイルスちゃんはたまーに送られてくるコロナチャレンジが大好きだった。なぜなら、中にはコロナチャレンジの購買意欲を高めるマンガが入っているからだ。コロナチャレンジを運営している企業からすればDMなのだが、小学生のコロナウイルスちゃんにとってDMでもマンガはマンガだ。しかも、コロナウイルスちゃんのお家ではマンガは禁止されていた。マンガに対して飢餓状態であるコロナウイルスちゃんにとって、このコロナチャレンジから送られてくる郵送物に入っているマンガは砂漠の中で見つけるオアシスだった。

 マンガを読み終わったコロナウイルスちゃんはしっかりコロナチャレンジの思惑通りに購買意欲を掻き立てられていた。

「おかーさーん!! 私も、コロナチャレンジしていい? コロナチャレンジなら勉強毎日頑張るよ!!」

 母コロナウイルスはやれやれという風にスパイクをうにっとさせた。

「どうせ、送られてきた教材、溜めてやらなくなるでしょ」

「そんなことないよ! 毎日一教科10分だから続けられるよ!!」

「じゃあ、一週間、遊ぶ前に先に宿題を終えることを続けられたら考えるわ」

 コロナウイルスちゃんは二日目には先に遊んでしまい、五日目には母コロナウイルスに夜になっても宿題をしていないことを怒られた。

 結局、コロナウイルスちゃんはコロナチャレンジを諦めた。

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