駆逐まであと195日

 新型コロナウイルスは最近人間界に進出したこともあって、子供達にも熱心に人間について教えていた。

「みんな! 人間のことを知るために、人間にとって必要なものは何か考えましょう」

 ちびっこコロナウイルスたちはみんなうんうんと頭をひねりながら、それぞれノートにかきこきと文字を書いていった。

 その中でも最後まで考え込み、頭をひねりすぎて360度回転していたちびっこコロナウイルスが飛び跳ねた。

「そうだ!! 人間はご飯がないとしんじゃうから、「おにく券」と「おさかな券」でご飯を食べればだいじょうぶ!!」

 あまりの嬉しさに、ぴょんと飛び跳ね思いついたことをつい口に出してそれなりに大きな声で言ってしまった。

 その話を小耳に挟んだ人間がいた。

「いいこと聞いてしまったの! そのまま丸っと採用じゃ!」

 人間は会議で発表するために、意気揚々とその場を後にした。

「よく考えましたね」

 クラスを巡回していた先生が声をあげた生徒に微笑みかけ、みんなに注意を促し授業を再開し始めた。

「人間は衣食住といってご飯だけでは満足できない生き物なのです。それに人間世界にはお金というものがあって、それでお肉もお魚も買えるのですよ」

「そうなんだ!! まだまだ人間のしらないこといっぱい!! 先生、これからもっと人間のこと勉強して立派な新型コロナウイルスになるね!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る