第18話 灼熱のおっぱいリーダー
【モモ香ver】
名前付け会議は迷走しまくってた。
どいつもこいつもボケに走るから当たり前っちゃあ当たり前なんだけど。
「つかさあ、三人いて三人共ボケってどーなの?なんでツッコミ役いないわけ?」
「だってもーいい加減面倒くさいじゃないですか。おっぱいが喋ったりとか存在自体があり得ないのに。いちいち突っ込んでたらキリがないんですよね」って焼酎のコップ片手にトロンとした顔で愚痴るコイツも随分スレちゃったもんだ。
『うむ、我がパイはボケてるつもりはないのだか』
あー、こーゆートコね。確かに面倒くさいわ。
「じゃあさ、名付けは延ばして、あとなんか決める事ある?」
『ハイハーイ』
アタシの右おっぱいがびょーんと上に持ち上がった。
「だから、アンタはいちいち手(おっぱい)を挙げなくていいから」
「もはや妖怪ですね、それ」
カスミがすんごい冷めた目で見てくるんだけど。
『さて問題です。悪の組織に必要な物はなんでしょう?』
コイツ、面の皮が厚いのか、乳輪が厚いのか、皮肉もお構い無しだな。
「必要な物ですか?イケメン?」
「え?なんでイケメンが出てくんの?」
「主役がイケメンは当たり前の時代ですからねー、これからは悪の方もイケメンがいるんですよ」
『いや、いらんと思うけど』
「あとは着ぐるみですかね?怪人の」
「いやいや、着ぐるみってゆーなよ。そこは普通に怪人でいいんじゃないの?地方のゆるキャラじゃないんだからさ。悪の組織だよ?世界征服めざすんだよ?地域活性とか目指してないよ?」
「じゃ、アサルトライフルとかグレネードランチャーとか密輸しちゃいます?」
「いきなり生々しいな。テロじゃないんだから、もっとこう笑える世界征服でないとさ?」
「なんですか、笑える世界征服って?ケ○ロ軍曹ですか?」
『おお、ソレだソレ!』
「え、マジ?」
『アレに眼鏡クルクルが出てくるやん?名前知らんけど』
って、ほぼ言ってるし。つか、なんでいきなり関西弁なんだよ?
『つまり、悪の科学者、マッドサイエンティスト!それが必要!』
「鳳凰院ナントカみたいな?」
「マッドサイエンティストかぁ……。1人いるっちゃあ、いるなぁ。あんまり関わりたくないのが」
「うわっ、さっそくフラグ立てちゃってるじゃないですか。トラブルの予感がプンプン匂うんですけど。ゲロ以下の匂いがするぜぇー、です」
『よし、総統命令である。そのマッドサイエンティストを仲間に加えよ!』
ってコイツ、いつから総統になったんだよ?
【水希ver】
放課後、僕と小野さんと平山さんは問題の女子更衣室にやって来た。勿論調査の為で、ちゃんと生徒会にも許可は貰ってある。
僕は一応遠慮して廊下で待ち、小野さんと平山さんに中を詳しく調べてもらった。
「どうだった?」
出てきた2人に尋ねる。
「やっぱり外の天窓以外、怪しいとこはなかった。今はもう天窓は閉めちゃってるけどね」
って、小野さんが言う。
「今までずっと日中は開けてたけど、もう時間決めて定期的に開け締めするようにしたんだって」
平山さんが教えてくれた。
「それ結構安心だよね。平山さんが意見出したから生徒会が検討してくれたんだね」
「あ、うん、良かったよ」
って平山さんもまんざらじゃないみたい。
◇
次に僕らは校舎の外にやって来た。ちょうど更衣室の真下辺りだ。
壁を見上げると、ホントに何も突起物がない。溝すらない。
「確かにハシゴがないと無理だね、この壁」
「そーだね」
「あれ、君らも見にきたの?」
後ろから声掛けてきたのは、昼間のバキラーの人だ。
「あ、あたし
男の子みたいなベリーショートの髪に、男の子みたいなペッタンコの胸。
ボーイッシュって表現がピッタリの人だな。ってか……胸足りんね。
名前って恐ろしい。
「あーっ、君、胸足りんねって思っただろ?」
「いや、えーっと」 あ、鋭いね。
「そりゃあ君の彼女ほどおっぱいないけどさ?ん?どっちが君の彼女?おっぱいが大きい方だよね?」
宗田さんが言うおっぱい大きい方って小野さんの事だよね。平山さんは……可愛らしくポコッとしてるだけだし。
って平山さん見てたら、なんかめっちゃ睨まれた。
「上城くん?今、あたしの胸、確認したよね?」
「い、いや、えーっと」
「どーせあたし、小野さんみたいに大きくないですからっ!」
ええっ、なんで平山さんがキレてるの?
「ちょっと、まぁまぁ。君もあたしよりかはあるじゃん?あたしなんて壁だし」
って宗田さんが平山さんをフォローしながら豪快に笑う。やっぱりこの人、生徒会より体育会系の方が合ってるよ。
「ウチは貧乳の家系なんよねぇ。姉貴がいるんだけどさ、姉貴も絶壁だしw」
宗田さんが愚痴る。
「別におっぱい大きくても困るだけなんだけどなぁ」
僕がそう呟くと、チッパイ2人に噛みつかれた。
「あーっ君今、言ってはいけない事言ったな⁉」
「上城くん、おっぱいの苦労なんてわかんないでしょ⁉」
いや僕、君達より大きいおっぱいの苦労、知ってるんだけどね。流石に言えないけどさ。あ、小野さんがまた顔隠して肩ピクピクさせてるよ。小野さんは事情知ってるもんなぁ。
「ゴメンナサイ」
取り敢えず謝っといた。まだすっごい睨まれてるけど。
「ああ、そうだ。あたしも謝っとかないと。昼間は君のお友達、疑ってゴメンね。状況的に犯人だと思い込んじゃって」
「いや、あの人の場合、自業自得だから。いい薬になったと思うよ?」
「そう?ならいいけど。で、調べて何かわかった?」
僕は小野さんの方を見た。
「もうちょっと、調べたいかな」
小野さんがそう言っちゃったら、それに従うしかないなぁ。推理は小野さん頼みだもん。
「ふうん、そっか。コッチでも調べてみるよ。じゃっ」
宗田さんは一旦帰りかけて、思い出したようにまた僕の方に近づいてきた。
「ところで君は誰が好み?」
そう言って僕の顔を覗きこむ。
えっ、急になに?誰が好みって言われても、小野さんはミステリアス美少女で小悪魔だし、平山さんは小動物的で可愛らしいし、宗田さんはボーイッシュで格好いいし、それぞれ魅力的で甲乙付けがたいんだけど?
「あたしはねぇ、
「へぇっ?…………ああ、そっちか。紐切りの人ね」
そっか、この人バキラーだったな。すっかり忘れてた。
「僕はベタに花山薫かな」
「ああ、なるほど、じゃあ。またね」
今度はホントに去っていった。
「賑やかな人だね」
って小野さんが言う。小野さんとは真逆な感じかな。
「そーだね」
つか、まだコッチの自己紹介してなかったよねぇ?今度会ったらしないとね。って、そーだ。
(ポコさん(仮)、今の宗田さんどう?寄生者?)
『うーん、どうやら違うっぽいですね。そこの小野さんと平山さんも違いますね』
(そっかぁ。ねぇ、もし女の子が寄生者だったら、どこが喋るのかな?おっぱいが喋ったりする?)
『喋るおっぱい?わははは、さすがにそれはないでしょう?絵面がマヌケ過ぎて笑えますwww』
って、笑ってるけど自分は何だと思ってんだろ?このチ○コ。
【平山友理奈ver】
今日はなんかすごい!
いきなり小野さんと仲良く、いやまだそんなでもないかな、とにかく小野さんとかなり接近できた!
やっぱり良いよねぇ、小野さん。綺麗な上に頭もいいし。
あと、上城くんに対しては結構お茶目なんだよね。からかって楽しんでる感じ。あの人、あんな面があったんだね、知らなかったよ。
上城くんに対してだけ、ってのが気になるけど。
そーそーその上城くん、ちょっとだけ見直した。
あの人、今までおバカな子ってイメージだったけど、そうじゃなかった。すんごいピュアなんだよね。真っすぐってゆーか。先輩かばって生徒会に突入しちゃうなんて普通の感覚じゃできないよね。あの怖い生徒会長にも動じてなかったし。あれであたしの中の評価、3ランクぐらいアップしたよ。
でも、その後が悪かったな。おっぱい大きくても邪魔なだけって、そんなの小さくて悩んでる子に言っちゃダメだよ。あたしもちょっとキレそーになったもん。上城くんに悪気はないんだろーけどね。女の子の問題は女の子にしか、わからないもんね。あの発言でまたちょっと評価1ランクくらい下がったかな。
で、結局小野さんと上城くんってどういう関係なんだろ?見てるとたまに小野さんの方から上城くんにちょっかいかけてる感じ?うーん、まだ付き合ってるって雰囲気でもないんだよね。小野さんって上城くんの事、どう思ってるんだろ?なんか、ちょっと気になるなぁ。
【優月ver】
学校終わって、近所のスーパーのトイレでジャージに着替えて、僕は水希から優月になった。つまり、チ○コを抜いたって事ね。家に帰ってから抜くべきなんだろうけど、僕にはまだやる事があるからね。姉ちゃんとの約束は、学校で抜くなだから、学校出たらOKだもんね。
「うーん、なんかこの姿、久しぶりな気がします」
って相変わらず僕の胸に収まりながら、ポコさん(仮)が言う。って、いい加減(仮)付けるの面倒くさいなぁ。もういいか、付けなくて。
「だよね。僕も久しぶりに優月になった気がする」
「で、なんでこんなトコで抜いたんです?」
「ちょっと思うとこあってさ、もっかい学校に戻るね」
◇
学校の裏手側、ちょっと小高い丘になった場所にその二人はいた。
「こんちわ、オジサンたち」
僕が後ろから近付いて声掛けたら、露骨にビクってしてる。
「⁉や、やあ、こんちわ」
真っ黒いサングラスの中の目がさぞかし泳いでるんだろーな。
相変わらずノッポとぽっちゃりの凸凹コンビは挙動不審だった。
そう、僕が優月になって戻ってきたのは、この二人に会うためだ。
「もしかして、ずっと学校張ってたの?もう調査終わったんじゃなかった?」
僕がそう問い詰めると、ノッポが慌てて手を振った。
「いやいや、昨日のアレは報告して一旦終了したんだよ。でも、ウチのボスが君の事大層気に入ったらしくて。もっと詳しく調べてこいって」
「そのボスって誰か知らないけどさ、僕が直接話しつけようか?ずっと付きまとわれると僕も困るし、オジサン達も大変でしょ?」
「うーん、ちょっと聞いてみる」
そう言ってノッポがどこかに連絡取り始めた。
その間に僕はぽっちゃりに質問する。
「ねえ、今日の10時から11時くらいもここで見張ってた?」
「うん?ああ多分そのくらいも見てたな」
「ここから?」
「ああ、そうだよ」
ぽっちゃりがあっさり認める。
「誰か不審な人間があっちの裏手の方に行くの見てない?」
僕は例の更衣室に向かう方向を指差した。ここからだとあの更衣室の壁は見えないけど、誰かが通ればすぐわかる筈だ。
「あっちの校舎の方か。うーん、不審なヤツってのはいなかったなぁ。いたらわかるし。せいぜい、業者が荷物転がして通ったくらいかな?」
「業者?なんの?」
「あれは多分、ジュースの自動販売機の補充じゃないか?食堂の方に行って、暫くして今度は裏手の方に行ったから。ジュースの箱、押して」
確かにジュースの自動販売機は食堂と校舎裏手にあるな。しかも、その途中に例の更衣室の真下通るハズだし。
「その裏手に行ってさ、今度戻って来たのって何分後くらい?」
「ん〜、あんまり覚えてないけど、2、30分じゃないかな?」
2、30分かあ。その間に盗んだりできるかなぁ?無理っぽい気がするけど、明日小野さんに聞いてみよう。
「ありがとう、貴重な情報だったよ」
「ほう、そうかい?嬢ちゃんの役に立ったんなら嬉しいぜ」
そう言ってニッコリ笑うオジサン。見た目と違っていい人なんだよね。
「お嬢ちゃん、ホントにボスに会うのかい?良ければ明日の今くらいの時間でどうだって言ってるけど?」
ノッポがそう言ってきた。
「いいよ。場所もここでいいよね?」
「OKだ」
◇
「水希くん、じゃなかった、優月……くん?ちゃん?」
黒服の二人と別れたら、ポコさんがぬっと顔を出した。
「優月ちゃんでいいよ。ちょっと恥ずかしいけど。なに、ポコさん?」
「ホントに良かったんですか?あんな約束しちゃって?」
「ずっと付けられたら流石にバレるでしょ?その前に手を打っといた方がいいんじゃない?いざとなればポコさんもいるしさ?」
「ワタシがなんか役に立つと思います?」
「勃たないチ○コはただのチ○コだよ?」
「……それ、名セリフっぽいけど当たり前っちゃあ、当たり前ですよね?」
「……だよね」
チ○コにダメ出し食らっちゃったよ
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