シェリーバーにて
食事の後に飲みに行こうとコトリちゃんに誘われたけど『クライアントとの顔合わせ会』があるって断っちゃった。ちょっと独りで飲みたくなったの。行ったのは私にシェリーの美味しさを教えてくれたバー。そう今夜はシェリーの気分。
「辛口でお願い」
カズ君との事を他人に話す日が来るとは本当に思わなかった。カズ君は絶対に話さないから、たぶん聞いたのはコトリちゃんだけやと思う。話した事はそんなに後悔しないけど、話すのは途中から本当につらかった。カズ君が辛い思い出を封印している理由がちょっとわかった気がする。
嫌だなぁ、カズ君への思いは完全に断ち切ったつもりだったはずなのに、あれだけ昔の話をさせられたら思い出してしまうやん。たしかにカズ君はイイ男じゃないけど、あんなイイ奴はそうそういないんだ。まあ愚図でお人よしだけかもしれないけど、あんなピュアな奴は二度と出会えないかもしれない。
カズ君と結ばれた夜を思い出しちゃう。なんかお義理で抱いたんじゃないかと思った私は
『私のことホントに好き』
こう聞いちゃったんだ。だって二年近くも同居していてほとんど触れもしてくれなかったから。そしたら、そんな質問は心外って調子で
『好きに決まってるやん。大事にするよ』
ずっと我慢してたのかなぁ。だから『いつから』って聞いたら焼肉食べた時からだって。その時は鶏ガラっていってたのに。ホントはいつからなんだろう、もっと早くても良かったのに。もっと早かったら違ってたかな。こんなこと何回思ったか数えきれないよ。
最近になってやっとあの頃のことを思い出さなくなってたんだけど、今夜はダメだ。私も封印が解けちゃったみたい。しょうがないよね。
「もっと辛口でお願いします」
カズ君と別れてからも付き合った男はいるけど、どうしても較べちゃうんよね。そりゃ単純に較べりゃ、カズ君より遥かにイイ男のはずなんだけど、何か足りないんよ。その何かが満たされないから続かないんだ。今じゃ男嫌いなんて呼ぶのもいるぐらい。私だって男は欲しいのに。
コトリちゃんは幸せだよな。私に言ってくれたのは『大事にするよ』だけだったやん。まあホントに大事にしてくれたのは認めるけど、やっぱあれは愛情じゃなくて同情だったんだろうなぁ。でもそれだけで良かったんだよ。それだけで私は幸せだったのよ。ホントに幸せにしてくれたと思ってるの。私は本気だったものね。いや、今だってそうよ、変わってないの。
それにしても凄い婚約指輪だったよなぁ。アイツ生真面目に給料三か月分やったのかな、いやそれ以上の気もする。アイツならやるやろな。そりゃ、アイツの給料三か月分ならそうなるけど、それをあんなにアッサリ捨てるんかよ。そんだけ本気だったんだろ。
今日一番痛かったのはコトリちゃんに私はどうなのって聞かれた時。答えられないよ、誰にも言えないけど『いつか』って、ずっとずっと思ってたんだ。クラス会の時も必死だったから。
ホントはあの日も大事な仕事があったんだけど、カズ君が出席すると直前に聞いて、無理やりキャンセルして出席したんだよ。嫌がれるかもしれないけど、このチャンスを逃したら一生会えないと思ったんだ。あの日も嫌がれてる雰囲気はプンプンあったけど、なんとか友達に戻れてどれだけ嬉しかったか。
でも本当の私は悪い女。コトリちゃんと付き合ってると聞いて嫉妬したんだ。嫉妬の余り元彼の情報流しちゃった。これだけでカズ君はコトリちゃんと別れるはずと計算してだよ。こんな悪い女どこにいるんだよ、あれだけの恩人にそんなことしちゃうんだよ。あんなことやっちゃったのは、やっぱりまだ好きなんだよ。忘れられないんだよ。
「すみません、もっと辛いのを」
「今日はどうかされたんですか」
ここのマスターは女性。いつもは甘い系が好きなので気になったのかも。
「うん、ちょっと」
「お仕事、それとも恋」
「恋」
「それで辛口ってことはまさか失恋」
「うん」
今じゃないんだけどね
「先生みたいな素敵な女性を振る男がいるんですね」
『先生』と呼ばれるのは未だに慣れないの。そんなことはともかく、いたんだよね、この世で一人だけだけど。
「今じゃないの。ずっとずっと昔の恋を思い出して、おセンチな気分なだけ」
「先生をそこまで夢中にさせた男って、さぞやイイ男だったんでしょうね。一度お目にかかりたいものです」
何気ないマスターの言葉だったが、妙に気に障った。私のどこかの導火線に火がついたんだ。そんなもんイイ男に決まってるじゃない。日本一、いや世界一だよ。それもダントツだよ。ケチなんかつけたら殴り倒すよ。
会いたい、話したい、抱かれたいよ。アイツには失恋の時効ちゅうものがないんやろか。いや、みいちゃんにも会ったって話やから、私が会ってもイイよね。うん、絶対にイイはずだ。みいちゃんが良くて私が悪い理由なんてあるはずないやん。
「見せてあげようか、世界一イイ男を。来たらだけどね」
でも来ないだろうなぁ。この時間帯だし、私とは電話はともかく会うのはずっと避けられてるし、
「私だよん」
「どうしたん」
「一緒に飲んでくれへん」
「ボクも飲みに来てるから、こっちに来る?」
「いや、今夜はシェリーが飲みたいからこっちに来て」
「参ったな。なんていう店?」
酔った勢いで呼び出してみたらホントに来るとなって、今度は私が慌てる番です。だってあのクラス会以来ですから胸の動悸が止まらないよ。それにしても拙かった、化粧も、服もコトリちゃんに会うだけのつもりだったので、これじゃあ、あんまりだよ。
「どうしよ、どうしよ。ホントに来ちゃうよ、どうしよう、どうしよう・・・」
「お久しぶりなんですか」
「それなのに、こんな恰好じゃ恥しいし、お化粧も・・・」
「そのままでも十分に素敵ですよ」
「こんなんじゃ、こんなんじゃ、・・・」
この日を何年待っていたことか。その日には目一杯着飾って、オシャレしてカズ君の心を鷲掴みにするんだって、何度も何度も思い描いていたのに、なんてこったです。やっぱり断って仕切り直しにしようとウジウジ悩んでいる内に時間だけが過ぎていきます。でも、やっぱり、やっぱり、逢いたいよ。
「久しぶり」
「う、うん」
来ちゃった。どうしよう、なにを話したら良いの、どうしたら。顔さえロクロク見れずにうつむいてしまう自分が情けない、
「クラス会以来やなぁ。とりあえず乾杯しよ。ボクは甘すぎないのでお願いします」
「私は甘めで」
私のオーダーを聞いて含み笑いをしているマスターの顔がチラッと見えましたが、それどころではありません。
「乾杯」
昔と同じだ。こうやって二人で飲みに行ったんだ。こうやってご飯食べたんだ。あの下宿の部屋で二人きりであれこれ話したり、愚痴を聞いてくれたり、ふざけあったりしたよね。徹夜で話明かしたり、飲み明かしたこともあったよね。
朝起きたらカズ君がいて、朝食を一緒に食べて、学校に行くのに見送って、帰ってきたら一緒に買い物に行って、一緒にご飯作って、一緒に食べて・・・最後の方は一緒に寝てたんだ。お風呂は狭かったから一緒に入れなかったけどね。一緒に喜んで、一緒に悲しんで、一緒に楽しんで・・・あの日々が頭に全部甦ってくる。あの日に帰りたいよ。
「どうしたん、飲み過ぎたんか」
「だいじょうぶ」
「顔、赤いで」
それは酔いのせいもあるかもしれないけど、アンタに酔ってるからだよ。あのカズ君が隣に座ってるからだよ。私の素振りが異様に感じたのかマスターが、
「こちらが例の方ですか?」
「例の方って、シオ、どんな紹介してたんや」
『シオ』って呼ばれた瞬間に、このまま死んでもイイと思った。一緒に暮らした二年足らずの間に『シオ』って呼んでくれたのはあの夜からの短い期間だけなのよ。それ以外はすべて『加納』。クラス会の時もそうやった。それよりなにより、この世で『シオ』と呼んでくれるのはカズ君だけなんだよ。何かが私の中ではじけた気が、
「それはね、世界一イイ男を今から呼び出すって言ったの」
「ハハハハ、そりゃエエわ。えっと、私が世界一イイ男です」
これにうけたマスターと二人で笑ってましたが、こうなれば突撃あるのみです。コトリちゃんには悪いけど、私だって未練がタップリ残ってるの。
「本気で世界一イイ男と思ってるの」
「それはありがとう。お世辞でも嬉しいよ」
「お世辞じゃないの!」
笑っていたカズ君がちょっと固まりました。
「カズ君」
「その呼び名は堪忍してえな」
「悪いけど、今夜だけは我慢して」
「参ったな、まあエエよ」
あれホントにイイの? あれだけ嫌がってたのに。私の剣幕に驚いたのかな、
「やり直したい」
我ながら突然すぎて愛想もクソもない。ホントはお世話になった時代のお礼をちゃんとして、四方山話の末に切り出せるなら切り出すつもりだったのに。今夜の私はどうかしてる。カズ君が困った顔をしてる。ゴメンナサイ。今夜だけは許して、
「ボクなんかとやり直さんでも、いくらでもイイ男はおるやん」
「いないの。あれからずっと探しているけどいないの」
「そりゃ探し方と男運が悪い」
どうしたら良いの、どうしたら、あせりまくっても頭が混乱するばかり。次は何年先になるかわらないというのに、次の言葉に困ってる。切羽詰まった挙句にようやくひねくり出したのが
「あの時にどうして私を引き取ったの」
「その話はエエやん」
「じゃ、どうして今夜は私のことを『シオ』って呼んだの」
「それは、つい・・・」
「じゃ、今夜は『つい』の日だから話して」
あちゃ、私も昔に戻っちゃったみたい。カズ君が話したくない事を聞きだす時に良く使った段取りです。こうされるとカズ君は弱いのは良く知っています。この手で、みいちゃんとの話も聞きだしたんだ。ちょっとずるいけどカズ君許してね。
「参ったな。今夜だけやで、呼び方間違えただけでエライ目に遭うわ。あん時にシオを引き取ったのは、こんなイイ女が苦しんでいるのを見てられへんかったからやねん。まさかホンマに転がり込んで来るとは思わへんかったけど」
「ウソ」
「ウソやない。ウソついてどうする」
「じゃ、なんですぐに抱いてくれなかったのよ。それぐらいは覚悟してたのよ」
「アホ抜かせ。いくらイイ女でも好かれてもない女なんて抱くかい」
やっぱりカズ君は世界一イイ男や。
「それだけで二年近くも手を出さへんかったん」
「当然やろ。シオは恋人である前に、まず大事な幼馴染やからな。我慢するのはちょっと大変やったけど」
「そんな我慢なんかしなくても・・・」
溢れそうになる涙をもうどうしようもありません。
「こんな話で泣くなよ。ホンマに参ったな。そりゃ抱きたいと思てたよ。ボクだって男やからな。でも言うてたやん、写真の先生に襲われそうになったって。きっとシオにはトラウマになっているはずやから、シオがボクのことを好きになって抱かれたいと言うまで待とうと思ってただけやねん」
それだけの理由で我慢できたの?。同じ屋根の下で襖一つで隣の部屋で毎晩寝ててやで。夏なんかエアコン1台しかなかったから、暑いからって襖も開けてたやん。寝息だって聞こえたはずだし、ほんの二、三歩しか離れてなかったのよ。
でもカズ君が襲う素振りも見せなかったから、あの二年間で男性不信は消え去った気がする。気付かなかった、今日の今日までその事に気づかなかった。私を癒すためにずっと我慢してくれてたんだ。
「なんか変な誤解してるみたいやけど、シオは好きやった。好きやったけど、あん時はシオがボクの事を信用して転がり込んだきた訳やん。信用と愛情は違うから、信用に付けこんだらアカンやろ。弱ってるシオに付けこむなんて最低やん」
ゴメン、カズ君。私そこまで信用してなかったの。体は家賃とか生活費代わりでいつか求められるのは仕方がないと思ってたし拒否もできないと覚悟してた。それしか支払えるものがなかったから。見知らぬ男より、せめて幼馴染のカズ君の方がまだしもあきらめがつくみたいな感じかな。
「ホンマに災難な夜やわ。こんなん話すほどの事やないけど、シオは本当に弱っとってん。触れれば崩れ落ちるぐらいにな。そうじゃなきゃ、ボクんとこなんかに転がり込むかいな。そこまで周囲が見えなくなるぐらい弱ってたんや。このままじゃシオがどこに転落していくか心配で仕方なかったんや。誰かに甘い言葉をかけられたらイチコロみたいって言えば怒るかな」
そうかもしれない、いやそうだった。カズ君の下宿に転がり込んだこと自体が既にイチコロ状態だった。あの時にカズ君じゃなくて他の男であってもそうしたかもしれない。誰かに頼りたくてしょうがなかったんだ。たぶん誰でも良かったんだ、カズ君でなくとも。
「だから下手な愛情は見せたらアカンと思たんや。そんな事をしたらシオはボクみたいな男に頼り切る女になってまうかもしれへんやん。シオにはそうなって欲しくなかってん」
そんな理由だけで好きな女と同居していても口説きもしなかったの。抱くどころか手を握るのさえあれだけ嫌がったの。私が立ち直るためだけに我慢したの。弱ってるから付けこむんじゃなくて、立ち直らせる方を優先してくれたの。どうしてそんな事が出来たの。
「格好エエこと並べてるけど、ボクだって男やから本音はシオが欲しかった。いや欲しくて、欲しくてたまらなかった。でもそれは元気なシオに戻って、それでもボクを好きになってくれたらの時だけと決めてたんや。だからあのプレゼントは本当に感激して有頂天になって受け取ったよ」
うぇ~ん、うぇ~ん、もうどうしようもないよ。私を抱いた時にそんなに感激してくれてたんだ。好きで好きでたまらなかった愛しい女を、同じ屋根の下でいつでも抱けるのに二年も待ち続けてたんだ。それも最初に求めた時はまだ立ち直ってないから怒って拒否してるんだよ。
やっとの思いで抱けたって喜んでくれてたんだ。そうなんだ私はこんなに愛し抜かれて抱かれたんだ。それなのに、それなのに、それをお義理じゃないかって聞いちゃったし、あれからもずっと疑ってた私って・・・
「あの頃はもうシオは抱けへんと半分諦めとった。二年も一緒に暮らして、こんだけ好きになってるのに抱けへんのは残念やったけど、やりかたかったのは幼馴染でもあるシオを立ち直らせることで、口説くことでも、抱くことことでもなかったからと自分を慰めとったんや。
まあ、冷静に考えりゃ、こんな冴えん男をシオが選ぶはずもないし、選ばへんのが元気になった証拠みたいなもんかと。だから今から思ても夢のような夜やった。元気になってもシオが本当にボクを選んでくれたって」
顔も上げてられない。カウンターで顔を伏せて号泣にならないようにするのに必死。
二年間も一緒に暮らしていて情けないぐらいなんにも見えてなかったんだ。カズ君が私を最初から愛していたこと、愛しい女を立ち直らせるためにどれほどの事をしてくれていたのか。だからこそ私が立ち直り、その愛に気づいたことをどれほど喜んでくれていたのかを。
今の今まで私に向けられていたのは同情で、同情の延長線の上の愛情と思ってた。よほどカズ君の好みのタイプじゃなかったと信じ込んでた。なんにも、なにひとつ私はわかっていなかったんだ。カズ君は本当に私を愛してくれてたんだ。
そこまで愛し抜かれていた私がカズ君にやった仕打ちはまさに最低。たった三ヶ月だよ、たった三ヶ月別れて暮らしただけでカズ君を疑ったんだ。それもなんの証拠もなくだよ。ただちょっと寂しかっただけの理由で心を試したんだよ。
カズ君は私が選んだと言ってるが、それは違う。あの焼肉の時に私はカズ君に選んでもらったんだよ。選ばれて大事に大事に、これ以上はないぐらい大事に愛してもらったんだ。私がその愛に気づいて受け入れてくれる日だけをひたすら夢見て。
今になって、やっとわかった自分が本当に情けない。わからなかった自分が悲しすぎる。あの時にわかっていれば、せめてもう少し見えていれば、あんな仕打ちは思いつきもしなかったのに、あの仕打ちでカズ君を悲しませることもなかったのに、ひょっとしたらずっと結ばれたままっだたのかもしれないのに、
「でもまあ、済んだ事やし。シオがこれだけ元気に活躍してくれてることで、ボクのやったこともちょっとぐらい役に立ったと思って嬉しいわ。それで十分恩返してもらってると思てるよ。そやから気にせんといてや。
そやそや、最後につい抱いてもたんはホンマに悪かった。あれさえ我慢してたら、シオにこんな思いさせへんかったし、幼馴染の友達のままでいられたにと思うと反省してる。今思い出しても、ホンマに情けなかったわ。
さっきは格好エエこというたけど、やっぱり家賃とか生活費代わりに無理強いしたみたいなもんやんか。でもな、あんな場面であんなこと言われたら、ボクも男やん。見境つかんようになってもてん。許してな、悪かったと思ってる」
違う、違う、抱かれたかったのは私なの。プレゼントを受け取ってくれて本当に嬉しかったのよ。あれは心からのプレゼントだったの、それだけは信じてお願い。もっと早く抱かれたかったの。もっと、もっと抱かれたかったの。今だって抱いてほしいのよ。いや別れた時からずっと抱いてほしいと想いつづけてたのよ。
あのプレゼントは今だってそのままなの。あの結ばれた夜からずっとずっとそのままなの。気持ちはなんにも変ってないの。今だって、私の心と体はカズ君にプレゼントしたままなの。ずっとずっと永遠にそうなの。私はカズ君の物なのよ。
言葉にしたい、今言わなきゃいけないのに声にならない。ちょっと落ち着くまでカズ君待って、お願いだから待って、どうしても言わないといけないの。カズ君席を立たないで、お願いだから、私をこのまま置いてかないで、席を立つなら一緒に連れてって、お願い、お願い・・・抱いて、せめて今夜だけでも、
「変な夜になってもたな。でも久しぶりに会えて嬉しかったわ。話するだけやったらシオが最高や。二年もダテに暮らしてないもんな。ボクもシオって呼ぶから、カズ君でもエエわ。でも知り合いの前では呼ばんといてね。また飲みに行こ」
そういってカズ君は万札をカウンターに置いて、
「足らん分は奢っといてね。ほんじゃ」
もう号泣状態の私は顔も上げられませんでした。やっと私が落ち着いた頃にマスターがポツリと、
「たしかに世界一イイ男ですねぇ」
だからそう言うたやん。あんな奴は世界中探してもおらへん。きっと私が他の男じゃどうしても物足りなくなっちゃうのはそこよ。
あれだけの事を当たり前のように、まるでパンでも食べるようにやってのけるのが本当のイイ男よ。誰がなんて言おうとカズ君は私にとってダントツの世界一イイ男よ。でもお持ち帰りはしてくれないのね。やっぱりカズ君が今大事なのは私じゃなくてコトリちゃんなんだ。私じゃダメなんだ。
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