第133話【1st round 7th match】

バンメンは袖から大量に弾を放り投げた。


「コウ流格闘術八の型【権瑞】」


モルガナが足で旋風を起こして弾を全て吹き飛ばす。

権瑞は攻撃よりは牽制や炎等の遠距離攻撃の相殺に使わるので問題は無い。


「まぁこの位は返してくれないと」


跳ね返された弾をポケットから取り出したマントで自分に当たる物だけを弾くバンメン。

弾は地面に落ちると閃光と音を発して弾け飛んだ。


「癇癪弾か・・・」

「その通り、 俺は勇者だけどガチの殴り合いはやりたくないんでねぇ・・・

こう言った小技を多用させて貰う」


そう言ってナイフを投げて来る。

モルガナはナイフを指で止める。


「この程度っ!?」


ぐさり、 とナイフが太ももに刺さるモルガナ。

複数本投げていたのだ。


「ちぃ!!」


モルガナがバンメンに向かって走り出す。

バンメンはモルガナの足元に向かって瓶を投げる。

瓶の液体が地面に飛び散る。


「うわっ!!」


液体に足を取られて滑るモルガナ。

そしてつるつると滑って転がる。


「ちぃ!! ソク家戦斧術五の形【鍾乳】!!」


肘を地面に突き刺して滑るのを止めるモルガナ。

商乳は斧の柄を下に付きだし刺し貫く技、 だが今回は肘で再現した。


「おぉ、 すげぇーな」


感嘆の言葉を吐きながら瓶を次々とモルガナに投げるバンメン。


「っ!!」


バク転して何とか瓶を躱そうとするも幾つか当たるモルガナ。

モルガナの視界が混濁する。


「こ・・・れ・・・は・・・」

「普段は使わない高級な毒薬のオンパレードだ

デバフは基本だろう」

「ふざけ・・・」


足に力が入らないモルガナ。

地面に倒れる。


「っ~~~~~!!」


無理矢理両手で逆立ちしながらバンメンに向かうモルガナ。


「・・・・・」


バンメンもモルガナに向かう。

ここまで来れば小細工は無用と判断したのだろう。

モルガナは混濁した意識の中で笑った。


コウ流格闘術六の型【鯖】


逆立ちしての回転キック。

激突すれば相手に大ダメージを与えられるその技は

バンメンが腰を低くした事で外された。


モルガナは悔しさと驚愕が合わさった感情の中で

バンメンの掌底で吹き飛ばされ意識を失った。


「勝者!! バンメン選手!!」


今までの試合の中で一番盛り上がった試合に歓声を上げる観客達。

そして拳を天に付き上げるバンメン。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る