第99話【Passing】

高級住宅区に向かったロダン達。

ゾラから案内された邸宅は普通の邸宅、 とは言えなかった。


「あれ、 ここって・・・」

「この間ドンパチした所だな」


アンデッドが現れた邸宅の一つだった。

相当暴れたのでしっちゃかめっちゃかになっている。



「新築で事故物件の扱いになりますが家具はそのままお使いになられて結構です」

「使いたくないわ・・・」

「勿体無い」

「アンデッドが使った椅子やベッド使いたいの?

と言うか大立ち回りで偉い事になっているじゃない」

「でも家が有るのは良いし、 ここに引っ越そうよ

部屋もいっぱいあるし」

「まぁ良いのでは無いですか?

私はカリエ様の従者として住環境は整えますので」

「うーんベルーズが言うのならば・・・」

「決まりですね、 じゃあこの受渡し書にサインを」

「はい」


こうしてロダン達は家を手にする事が出来た。

早速宿から荷物を取りに行こうと戻った時にフギットと出会った。


「フギットさん」

「・・・おう、 お前達か、 この間は変な事に巻き込んですまなかったな」

「いいんですよ、 フギットさんの方が辛いでしょう・・・」

「・・・・・」

「今日は如何してここに?」

「アモールの屋敷が取り壊されるって聞いてな・・・」

「そうなんですか?」

「あぁ古い屋敷だから仕方ないだろう、 日当たりが良いから

街が土地を取得して新しく屋敷を立て直すらしいから

一度見ておこうと思ってな・・・」

「そうなんだ・・・」


フギットはそう言ってロダン達と擦れ違う。


「あぁ、 そうだロダン」

「?」

「俺からアモールを奪った魔王を打っ殺す為に色々準備したいと思っている

だからお前達にも色々依頼するかもしれないが受けてくれるか?」

「例えば?」

「例えば・・・強力な武器を作る為に色々調達して貰うとか」

「貴方は魔導義肢職人では?」

「魔導義肢の中に埋め込む隠し武器の為だよ」

「別に良いですけど」

「そうか、 じゃあまたな」

「また会いましょう」


フギットは立ち去って行った。


「何とか立ち直ったみたいですね」

「立ち直った・・・のかな?」

「生きる目的が出来たのだから良しとするべきだろう」

「そうかなぁ・・・」

「まぁ生きていれば何とかなりますよ、 その内」


そう言ってロダン達も宿屋に荷物を取りに向かうのだった。

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