第84話【Prosthetic man】

「ヒーラーか、 お前は」


フギットはゆで卵を食べながら尋ねた。


「えぇ・・・所で何でゆで卵だけを食べているので?」

「肉が嫌いなんだ、 昔から

とは言えたんぱく質はとらねばならない故に卵という選択に落ち着くと言う訳だ

後、 見ての通り俺は白衣を着ている、 カレーは食えない」

「はぁ・・・」

「そっちの女子は?」

「盗賊の花子」

「あ、 そ」


明らかに興味が無い様子である。


「この街には何をしに来た?」

「僕、 記憶喪失なんですよ、 その治療? に」

「ふぅむ、 記憶喪失か・・・」


少し考えるフギット。


「・・・貴方怪我人ですか?」


花子が尋ねる。


「んあ? 何だ藪から棒に?」

「何だかさっきから手の動きが変な気がします」

「僕は怪我人じゃないと思うけど・・・」

「そうなのよね、 怪我人だったらロダンがほっとかない筈なのに・・・」

「あぁ・・・こういう事だ」


腕をまくるフギット。

フギットの腕は、 腕間接が不自然だった、 まるで人形の腕の様に・・・


「これは?」

「魔導義肢だ」

「魔導義肢?」

「そう、 魔法の力で動く作り物の腕って奴だ」

「へぇ・・・」

「俺は生まれつき手足が無い状態で生まれてな

親父が魔導義肢を取り付けてくれて今に至るって訳だ」

「何だか大変ですねぇ・・・」

「いや、 実はそうじゃない、 魔導義肢の力は普通の腕と比べて

強く設定出来る、 コントロールを抜きにすれば寧ろ生身よりもパワフルって奴だ

如何だ? 腕をぶった切って魔導義肢にしてみないか? 値段は安くするぞ?」

「え、 えっと・・・」

「始まったにょ、 フギットの営業が・・・」


呆れるでぶ妖精。


「黙っとれでぶ」

「普通の人間は腕をぶった切ってまで魔導義肢にしないにょ・・・」

「そうですよ、 普通の人間はそんな事しない」

「腕を切ったとしても治すよ」

「あ”?」


ロダンの発言にあからさまに不機嫌になるフギット。


「出来ねぇ事を言うもんじゃねぇぞ餓鬼」

「出来るよ」

「出来ねぇよ、 そんな馬鹿みたいな治癒魔法聞いた事ねぇ」

「出来るよ」

「・・・・・」


フギットはイラついた様子で卵を全て平らげると店の外に出た。


「あ、 ちょっとお会計!!」


店員が叫ぶ。


「ツケとけ!!」

「ツケはしない主義!! おでぶちゃん達!!」

「にょー」


警備でぶ妖精達の投げ縄の乱打でフギットは捕らえられた。


「払うから離せぇ!!」

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