第62話【もにゅもにゅ】

入浴してからパジャマに着替えて


ベッドの上の沢山のでぶ妖精達に埋もれるモルガナ。




「はぁ・・・・・」


「どうしたにょー?」


「明日成人の儀だからね」


「成人の儀ー?」


「スキル貰えるにょー」


「何か問題にょー?」


「いや・・・ね・・・これからどうなるんだろうなって思って」


「にょー?」




寝返りをうつモルガナ。




「これからの人生・・・明日貰うスキルで決まる」


「そんな事無いにょー」


「そうにょー、 スキルの良し悪しで人生全部決まらないにょー」


「全部は決まらない・・・でも大まかな流れは決まる」


「にょー?」


「もしも明日貰うスキルが駄目なスキルならば俗世に行く」


「向こうにも美味しい食べ物一杯有るにょ」


「もるがなたんの武術の冴えならば向こうでも充分やってけるにょー」


「そう言って貰えるのは嬉しいよ」




でぶ妖精を撫でるモルガナ。




「でも故郷を離れるのはやっぱり・・・如何かなって思うの」


「にょー・・・強いスキル貰えると良いにょ」


「でもなぁ・・・うーん・・・・・」




モルガナがしかめ面をする。




「にょ?」


「強いスキルを貰ったとして・・・それが良いとは思えない」


「何でにょ?」


「ラッパと結婚するのはなぁ・・・」


「「「「「それは嫌にょ」」」」」


「でしょー? あの人は顔と地位は良いが性格が悪過ぎる」




ラッパはでぶ妖精からも嫌われている。


ラッパは隠しているが人の悪口ばかりを言っている。


外面は勿論良い、 しかしモルガナに対しては心を開いているのか


日々の鬱憤を晴らすかのように他人の悪口やモルガナの悪口を言っている。


でぶ妖精に対しての扱いも酷いのででぶ妖精からも嫌われる。




「私は彼が嫌いだ、 何とかして婚約破棄したい」


「悲しいにょー」




涙を流すでぶ妖精、 でぶ妖精の頭を撫でるモルガナ。




「スキルが悪くても良くても私の人生は好転しない・・・袋小路に入った気分だ・・・」


「にょー・・・」


「にょにょー」


「にょにょにょー」


「ん?」




でぶ妖精がよじ登ってモルガナを包む。




「君達くらいだよ、 私の癒しは」


「にょー元気出してー」


「・・・・・」




うつらうつらとモルガナは眠りに着いたのだった。


翌朝起こしに来たメイドがでぶ妖精に包まれたモルガナを見て吃驚仰天したのは


言うに及ばすである。

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