[怪物の書]
ユランは本を見ながら
「ねぇ、ウランさん」
「何かの?ユラン殿」
「カボスはどうなったの?」
「カボス?あぁユラン殿のゴーレムのことかの?」
「えぇそうよ」
「カボスなら姿を消して、図書館にいますぞ、ついでに人避けの結界を張っておいたぞ」
「そう、ありがとう、もう1つ聞きたいことがあるのだけど」
「何かの?ユラン殿」
「私以外で十天聖を来たことはあるの?」
「ありますぞ、第三天聖と第八天聖以外わな」
「その二人はどうして来てないの?」
「簡単な話じゃよ、図書館に来てないからの」
「どういうこと?」
「〈叡知の書〉に入る条件は図書館に来ることじゃからの」
「そんなに簡単で大丈夫なの?」
「さっきも言った通り〈叡知の書〉に入れるのは十天聖だけ、つまり、見つけることができるのは十天聖だけということになるの」
「なるほどね、じゃあその二人は一回も来てないの?」
「そうなるの、まぁその二人は図書館に来るようなタイプではないからの」
「そうなの?会ったことないのにわかるの?」
「あぁ、他にも十天聖だけしか入れない空間があっての、そこの担当者に聞いたのじゃ」
「そうなんだ、じゃあよく来るのは?」
「そうじゃな、よく来るのは、第五天聖と第十天聖じゃの」
「えっとその二人は」
「〈
「その二人は何しに来るの?」
「そうじゃな、ユラン殿の様に先代の記録を見たり、術の実験とかかの」
「術の実験って、魔法は無効化されるんじゃ?」
「あぁそれはな、本の中に入るのじゃ」
「入るって、ここに来たように」
「そうじゃ、ここにある本の中にはモンスター等のことが書かれている本がある」
「それで?」
「その本を開くと中に入り、そのモンスターと戦えるのじゃ!まぁ仮想敵との戦闘ということじゃの」
「その中なら術も使えるのね」
「そういうことじゃ、ユラン殿も試してみるか?」
「そうね、おすすめのモンスターは何かしら?」
「なら、この本はどうじゃ?」
ウリエは一冊の本を取り出し
ユランは受け取り
開くと光が包み込み
その場から消えた
ベアベアを抱いたユランの目の前にはボロボロな洋館が建っていた
「幽霊が出そうな雰囲気、さてとウリエさんに勧められて入ったけど、とりあえず入りますか」
ユランは洋館の中へと入るが中は真っ暗な闇が広がっていた
「暗い、明かりはないの?」
ユランがそう呟くと明かりがついた
「じゃあ、行きますか」
ユランは歩みを進めた
ユランは一つ一つ部屋を確かめて、最後の部屋へとやってきた
「入りますか」
ユランは扉を開け、中に入り
「ここは子供部屋?」
部屋の中には小さなベッドやぬいぐるみなどが置かれていた
「ここもすごいホコリ」
部屋の物にはホコリが被っていた
「ここも何も無し」
ユランは部屋を歩きながら周りを見ると
ホコリが被っていないピエロの人形が床に置かれていた
(あれだけホコリがない)
不思議に思ったユランは人形に近付き、拾おうとすると
浮かび上がり
徐々に大きくなりだした
「えっ」
大きくなるのが止まるとピエロはユランに向かって数本のナイフを投げてきた
「えっ」
ユランが固まっているとベアベアが飛び出し
全てのナイフを叩き落とし
勢いを落とさずにピエロを殴り飛ばした
(今の内に逃げないと)
ユランはドアまで走り開けようとするが
(開かない、なんで?)
ノブは回るがドアは開かない
ユランが焦っていると
ドカンと音が聞こえたのでその方向を見ると
壁に穴が空いていた
(なんで穴が空いてるの?)
ユランが壁の穴を見ていると
ベアベアがユランの手を引っ張り
壁の穴から部屋を出た
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