第13話ちょっかいと修正
「ねぇ三玖さんなんでこの状態になってるの?」
俺は今自分の理性と激闘を繰り広げている最中だ。
その理由は俺の背中に乗っている人に原因がある。
そう。三玖さんが俺の首に手を回している状態なんだ。
あまりにも心臓に悪いので腿に手を回すことはしていないが水の中じゃああまり力もいらないため三玖さんは俺にべったりなのだ。
しかも背中に俺にはない二つの柔らかい感触が常に当たっている。
それに加えて周りの男からの視線が痛すぎる。
三玖さんは気にも止めていないように見えるがあちこちから殺気立った視線がバンバン飛び交っている。
この視線と喋らずとも存在感を出してくる三玖さんの相乗効果で俺の精神はとにかく減っていっている。
「ねぇ?三玖さん聞いてる?」
「もちろんっ!なんでかって?ん〜颯くんがそこにいるから?」
「俺がいる度にこの状態になってたら落ち着かないのでやめてください」
「颯くんは嫌なの?」
後ろを振り返ると目の前に三玖さんの顔があった。
上目遣いで見てくる三玖さんはとても扇情的であって反則的な可愛さだった。
そんな彼女の姿に自分の気持ちを曲げることは出来なくなってしまった。
「わ.....分かりました」
「ねぇ、颯くん。ちょっかいかけてもいい?」
「え?だめです」
そう言うとふふっという笑い声と一緒に耳に冷たい息がかかってきた。
「颯くんビクッてしてる可愛いいな〜」
「三玖さん、振りほどきますよ」
「ごめん!ごめんって〜」
どうしても離したくないないらしい。
どうやって離してもらおうかと考えていると三玖さんから逆に提案してくれた。
「ねぇ颯くん〜あのウォータースライダー乗ろ!」
「いいですよ。それじゃあ行きましょうか」
決まるとすぐに三玖さんは腕を解いてくれた。ウォータースライダーだ一人用っぽいししばらく抱き着かれることはないだろう。
「ねぇ三玖さん」
なぜか三玖さんは頬をむーと膨らませて不満そうにこちらを見ている。
「ど.....どうしたんですか?」
「なんか......よそよそしいなって」
「敬語ですし、仕方ないんじゃないかと......」
「敬語やめない?」
えーと返すとより一層不機嫌そうになってしまった。
「じゃあ、敬語はやめなくてもいいから名前呼びしてよ」
それならいつもしてるじゃんと思いながら名前を呼んだ。
「三玖さ――」
「『さん』はなしね」
「......み、みく」
そう言うと三玖はぷいっと顔を背けてしまった。
「え、三玖さん、なんでそっぽ向くんですか」
「『さん』付けしたら話聞いてあげないから」
「み、三玖」
「うんっ!なに?」
そこでついに順番が回って来たようだ。なんとかこの辛い状況から抜け出せるとおもった矢先、
「二人用でお願いしますっ」
と三玖が言っていた。え、二人用!?
三玖はほらほらと急かして来た。
俺に拒否権ないようだ。
「ほらほらお兄さん〜彼女さんが待ってるよ〜」
と背中を押されてしまい。三玖さんを抱き抱えるような感じになった。
結局ここでもこんな感じになるのかよ。
全ては三玖の計算通りだったみたいだ。
「はぁ〜とっても楽しかったね」
「はい、そうですね」
いや、楽しかったけど滅茶苦茶疲れた主に精神的に。
三玖といると心臓がいくつあってもたりないなと思いながらそれぞれの更衣室に入っていくのであった。
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