#59 【バーチャルウェーブラジオ#6】 今日はゲストに燦を呼んで特別回!【夏波結/あるてま】
「夏波結の、バーチャルウェーブラジオ!」
:きちゃー
:平日の癒やし
:¥2,000 水曜にこれがあるから仕事も乗り越えられる
「こんゆいー。ゆいとものみんな、調子はどうかな? 学校やお仕事つらくない? じゃあ私のラジオ聞いて元気だしてこー! ってわけで今日もやっていきます! 本日のゲストは~、この方!」
「こんばんにゃー、あるてま2期生の黒猫燦にゃ。よろしくー」
:ゆいくろ回!
:¥10,000 神回決定
:¥300 今日夜勤休んでよかった
「はい、お気づきの方はお気づきでしょう。夏波結のバーチャルウェーブラジオ、普段は事前収録ですけど今日は生配信です! チャット、見えてるよー」
:マジ?見られてる?
:生ラジオたすかる
:やっぱゆいねこは運営も気合の入りが違うんやなって
そんなわけで結の定期配信にお邪魔することになった。
毎週色んなあるてまメンバーを招いてトークをするラジオ番組。本来なら前日までに本社スタジオで収録をするのだが、運営から今日は生配信でお願いします、と言われて通話をしながらリアルタイムでのラジオとなっている。
正直、普段ならタイムスケジュール通りに収まるように編集を行うラジオ番組を生配信するというのは無茶な気がするのだが、そういう面倒なところは全部結に任せてしまおうと思う。
「いやー、何回か生ラジオ経験してるけど、やっぱり緊張するねー」
「普通の配信と違ってラジオは進行が決まってるもんね」
「うーん、コラボ配信ってそもそも普通は段取りとか進行が決まってるんだけどね!」
え、コラボって事前打ち合わせ通りにならないからコラボなんじゃ!?
「御存知の通りウェーブラジオ、9月にスタートしたわけですけど、そこから先輩方や同期に後輩ちゃんと色んな人をお招きしました。で、みんな大好き黒猫燦がゲストに来たことは……一度もなかったのです!」
:な、なんだってー!?(棒)
:真っ先に初回ゲストで呼ばれるかと思ったらそんなことなかったな
:初回は憧れのきりん先輩で司会進行逆転してたしな…
:¥10,000 祝・ゆいねこらぼラジオ進出
「あ、スパチャありがとー! そうです、生ラジオならいつもはお返事が出来ないスパチャにもお返事が出来るというわけです!」
「いぇーい生ってさいこー」
:あ
:おい
:ライン超えたワ
:人様のラジオ番組で何言ってるのこのねこ
ぶわーっと流れるチャット欄を見ながら自分が何を言ったのか振り返る。
特に問題発言はしていなかった気がするんだけど……なんだこいつら。
「はい、はいはいはい。時間押してるから次行くよ」
「あ、うん」
:¥200 結ちゃんお疲れさまです
:これだから生って怖いよな
:2期生でラジオできそうなのって結ちゃんぐらいしかいないしな…
:あるてま自由人多いから
「てことでね、本来のウェーブラジオの進行だとゲストライバーのみんなが知らない一面を根掘り葉掘りと聞き出したりするわけなんだけど、せっかくの生配信だからいつもと違うことしようかなって思います」
「え、私もライバー一問一答したい!」
「……正直なところ燦ってすぐ何でも言うから知らない一面ってあんまりなさそうだし」
「は~~~!?」
:草
:たしかにな
:口すべらしたり素のままで喋ること多いし
:一問一答しても今更過ぎる
こ、こいつら……!
たしかにわたしは他のみんなに比べれば口が軽いほうかも知れないが、それでも私生活のこととかあんまり晒してないから隠れた一面とか色々あると思うんだが!
え、みんな推しの色んなこと知りたくないの!?
身体どこから洗うとかも答える気でいたのに……あ、これは前に配信で言ってたわ。
「まぁね、みんなも今更燦の隠された一面とか知っても仕方ないだろうし、どうせなら逆に初配信から振り返って黒猫燦の魅力を再確認するコーナーとかどうかな、と私は考えました」
「は!? 聞いてないが!?」
え、打ち合わせじゃ縛りしりとりするって言ってなかった!?
「ラジオでしりとりしても仕方ないでしょ」
「そうだけど!? そうだけどそうじゃないじゃん!? え、なんで毎回こういう偽打ち合わせするの!?」
「……運営が黒猫燦はリアルなリアクションで生きるって」
「ひど!?」
:まあそのとおり
:草
:芸人枠だからな
:運営もようわかっとる
:¥400 ※ドッキリはラインを守って行われています
:↑ほんと~???
今にして思うとたしかに翌日とかに突発的なあれこれが差し込まれる時は、その週はやたらとスケジュールの提出に厳しかったように思う。
配信中の偽企画とかもまあ対応できない企画は入れてこないし、意外と運営や企画しているライバーも用法用量を守っている、のか……?
「今日のためにわざわざ運営さんがデビュー1ヶ月ぐらいまでの燦の切り抜き動画作ってくれたよ」
「え、切り抜き動画とかいらんが!? 黒歴史じゃん!?」
「まあまあ、時間も押してるから早く見ようねー」
「あ、ちょ、まっ」
:wkwk
:¥360 ※音量注意
:↑たすかる
:初配信からってことはそういうことよな
:鼓膜買ってきた
『こんばんにゃ~~~~!!!!!!』
:うるさっ!!!!!!!
:うるせぇ!!(腹パン)
:鼓膜ないなった
:¥200 これで鼓膜買え
「ぴぃ!?」
「っ~~~、……あいつら、わざと調整せずに編集したわね」
『あ、あれ? 音おっきい?』
『ど、どうかな? 音大丈夫?』
:小さすぎィ!
:相変わらず胸も音も小さい…
:¥250 初配信のチャット再現するお前ら好きだわ
『え、えっと、これでいいはず。ど、どうですか』
『あっあっあっ、すみませんすみません。ポンコツでごめんなさい』
『ぐすっ、ありがとうございます。こんなわたしを励ましてくれて、視聴者さん大好きです』
「誰これ」
「やめろ! 胡乱な目で私を見るな!」
「だって、ねぇ? え、これがこうなる?」
「こうって言うなよ!? 今も昔も変わらない美少女じゃん!」
:むかしは猫かぶりがひどかった
:初配信終わる頃にはボロが出てたのでは…?
『あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ!!!!!!!!!』
「うっさっ!!!!!」
「今の燦の声もおっきいって!」
「え、私の初配信ってこんなだった? ずっと叫んでるか泣いてるかしてるやばいやつじゃん」
:今も昔も変わらないやばいやつだよ
:感情のジェットコースターか?
:正直この辺は成長してない希ガス
えぇ………。
今まで意識的に初配信は見返さないようにしてきたんだけど、まさかここまでひどいものだったなんて。
あるてまからデビューして半年ぐらいしか経ってないけど、それでも分かる。まだ個人Vtuberとしてなんの後ろ盾や経験を積んでない、新人Vtuberのデビュー配信のほうがよっぽど見れる内容だろう。
だってこれって配信って言うよりただの事故じゃんっ!
画面共有で見せられているわたしの顔、めっちゃ真っ赤でやばいことなってるよ!
「次は、あ、これ燦と初めてコラボしたときのやつだ」
『はい! 今日は告知通りコラボですよ、コラボ!』
『………』
『黒猫さーん。黒猫さん? おーい』
「うっ、昔の自分見るのって普通に恥ずかしい……」
「さっきから私は散々この辱め受けてるんだけどね!」
「デビュー当時ってみんな自分なりに方向性を模索してたから、見返すとうわーって気分になるね……」
「結の声も今よりトーン高いよね」
「うっさい」
:今のゆいちゃは黒猫さんとコラボする時はかなり素で喋ってるもんな
:¥2,000 明るい女子高生の夏波結も仲良しさんに見せる素の夏波結もかわいいぞ
:まあ結ちゃんは外行きで使い分けてる賢い子だから
:黒猫燦「使い分け……?
「お? バカにしたか? ちゃんと外用でキャラの使い分け出来るが??」
「え」
「え」
:え
:え
:ゑ
………妙な沈黙が一瞬訪れた。
チャットも誰も図ったわけではないのに「え」一色に染まっている。
いやいやいや、そこ疑問持つところじゃないでしょ?
わたし的にはちゃんと外用で黒猫燦のキャラクターを使い分けてるつもりだし……。
……、叫んでるだけでは?
「この時期の裏話といえば、祭先輩とオフコラボすることになって燦がDiscordで助けを求めてきたんだよね」
「うっ、だってあの時期頼れるの結しかいなかったし……。っていうか、確かあの時は結の方からチャット送ってきたんだよ!」
「そうだっけ?」
「そう! 配信終わったらいきなり大丈夫? ってだけチャット送ってきた!」
「そう言われればそんな気が……。でも返信に丸一日かかってたし、こっちから助け舟出さなかったら一人で抱え込んでたでしょ?」
「そ、そうだけどぉ……」
:お?てぇてぇか?
:もっと詳しく
「燦にチャット送ってからね、色々決着するまでに日付2回変わってるんだよ。ね、流石に2日は長いと思わない?」
:長い
:それは長い
:なにがあったし…
あ、あれは結が名前で呼べとかいきなり無茶振りするのがわるいし!
ヘルプって返事送るのは1日で決心付いて、そこから一悶着向こうが投げつけてきただけだし!
しかし、こうやって振り返ると今のわたしと昔のわたしはだいぶ変わった気がする。
結のチャットにもすぐ返事ができるようになったし、配信で緊張して泣くことも少なくなった。叫ぶのは……、まあ、うん、ね?
半年間色々あったけど、当初の目的の一つであるコミュ障の改善は着々と進んでいる、と言っても過言ではないのではないだろうか。
「ここから燦と私の長い付き合いが始まったと思うと感慨深いねー。あ、そろそろ再生時間のラストだ」
「流れ的に、最後は祭先輩とのオフコラボかな?」
:デビュー直後にオフコラボは当時衝撃だったなぁ
:オフコラボ自体よっぽど仲良しのVじゃないと成立してなかったしな
:そう思うと祭ちゃんマジで思い切ったな
チャットも昔を懐かしむものが多い。
わたしの枠では振り返り配信といった類のものは全然してこなかったから、みんなここぞとばかりに想い出に浸っているのだろう。
やがて動画が暗転して次のシーンが──
『にゃぁあああ゛あ゛あ゛あ゛今日の下着は黒の際どいやつ!!!』
「ちょっとまて!?!?!?!?!?」
「あ、再生終わった」
「え、これラスト!? もっと他に切り抜くポイントあったでしょ!? オチこれ!? いいのかあるてまスタッフ!?」
:草
:いいオチだったよ
:ある意味黒猫燦らしい
:で、今日の下着は?
こ、こいつら……ッ!
この半年の付き合いでわたしというVtuberに対する接し方が完全に板についてやがる!
そもそも普通はいくらVtuberでも女の子に下着の色を聞くとか非常識なんですけど!?
「今日は白」
:答えるんかい!
:この回答、迷いがない
:羞恥心を忘れた美少女
:残念美少女
:羞恥心ちゃん返して
「お前ら散々な言い草だな!?」
「いや、下着の色答えちゃダメでしょ……」
「なんかもういっかなって……」
いや別に積極的に公開する趣味はないけどどうせ隠しても減るものじゃないし。
むしろ喜ぶ男共を見ると若干心が踊る……?
「で、結は何色?」
「いやいや答えないでしょ」
「逆に?」
「逆にもなにもないって」
「からの?」
「からのもない」
「どうせ紺とかでしょ」
「どうせってなに!? 紺じゃダメなの!?」
「いぇーいあたり」
「う、あぅ……」
:策士黒猫燦
:なんでどうせで下着の色が分かるんですかねぇ…
:やば
:¥300 とりあえずありがとうございます
:セクハラしてもされても許されるVってつよいよな…
「あーもう! 時間もないから次! まだまだ予定詰まってるからね! ほら、告知コーナー!」
急かされるようにして次のコーナーへ回される。
まあ、1時間ラジオだから時間厳守は分かるんだけど、今のは明らかに話題を変えたくて急かしたっぽい。
とはいえ、下着の話題をズルズル引っ張っても仕方がないので素直に乗っかろう。
「えーっと、12月25日はあるてまのみんなでクリスマス配信します。朝から日付変わるまでぶっ通しでやるから、どうせ聖夜も暇なオタクくんたちは見ろよな!」
:は?
:あ?
:見るのやめます
:あーあ黒猫のせいで同接減るわ
:やっちまったな
「え、え、え。ちょ、冗談じゃん。いや事実をえぐったのはたしかに悪かったかもだけどさぁ!」
「燦、それ火に油注いでるから」
「ひとりでチキン買ってテレビ見るクリスマスともおさらばだよ!?」
:やめて、やめてくれ
:それは俺に効く。効きすぎる。
:いや普通に彼女と過ごすわ
:家族と美味しいもの食べるので…
チャット欄が阿鼻叫喚の地獄絵図になってしまった。
どうして、どうして……。
「えと、夜はフラップイヤーの皆で司会するから、その、よろしく」
:見れたら見るわ
:そう…(無関心)
:やべぇよやべぇよ
:せっかくの初出し情報が冷え込んじまった……
:この子に告知任せたのだれー!?
「はい、というわけでね! クリスマスはケモミミ組が夜の司会しますよ、ってことでした! 朝はお馴染み祭先輩ときりん先輩が担当して、お昼は私わたくし夏波結とリースさんが司会を務めるから、みんな見に来てね! 絶対楽しいクリスマスにするって約束するよ! あ、夜はチキンとケーキを皆で食べるからちゃんと買っておいてね!」
:はーい
:¥220 絶対いくよー
:楽しみ
:¥300 今から寝ずに待機します
:3期生も含めたあるてまフルメンバーのイベントとかやべー期待しかない
「なんでみんな私と反応違うのー!?」
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