136日目

眼が覚めたら、もう勇者はいなかった。

急にいなくなるもんだからちょっぴり寂しかった。

『まあ、記憶が戻ったんだな』

『おおお、まーちゃん良かった。起きたんだね!ってなんで睨むの!?』

だって説明もなしに、カプセルの中に入れましたよね。

『ははは、ごめんね☆どうしても記憶の媒体というか、素材というか。どうしてももう一人必要だったの』

師匠がそう言うならまあ、仕方ないのだろう。

『師匠、洗面所ってどこだ?』

『…いや、まーちゃんは顔なんて洗わなくてもかっこいいんだよ!』

『そうのいいから、師匠洗面所ってどこですか?』

『洗面所には行かせないぞお!』

……なにか隠してるな。というか体の感覚が変だ。別の人の体というか。

師匠の壁を強行突破し、洗面所の鏡を見ると。

――勇者の顔が鏡に映っていた。

入れ替わってんじゃねえかアアアアア。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る