85日目

 今日は私の誕生日。

 

 15歳になった。


 学校で、仲の良いトモダチが祝ってくれる。


 何故、誕生日がおめでたい事なのか。


 10歳の時にそんな疑問が浮かんで色々な他者の考えを調べた事がある。

 本を書く事に興味を覚えたのはその時だ。


 いろんな考えがそこにはあって。

 思想とか、国柄、宗教。

 多分、ずっと前から考えられてて

 色んな人が考えた事なんだろうな。


 誕生日。

 それはお母さんが、私にくれた初めての数字。

 私を形象する数字。


 家に帰ると両親が毎年の様に沢山祝ってくれた。


「食べ過ぎちゃった」

 ママってば、あんなにごちそう作って。

 部屋に戻るだけでもお腹が苦しい。


 そんな時、マナーにしてたスマホに連絡が入っていた事に気付き、画面を開く。


「え‼ 」ベッドに横になってみていた私はそんな声を挙げて飛び起きた。


「連絡遅れてごめんね。

 薬とか検査で中々これからも連絡は直ぐに返せそうにありません。

 お誕生日、おめでとう」


「秦祀くん……」

 慌てて返信を打つが、その手が止まる。

 多分、今彼は返信をするのも大変な状況なのかもしれない。

 この私の返信がまた彼に気を遣わせるのでは?


 私は悩んだ後、スマホを置いて机に向かった。


 この作品が脱稿したら。

 返信を送ろう。


 大丈夫。きっとそれはそう遠くない。


――異世界転生まで

  あと15日――


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