77日目

 夢を見ていた。

 どうやら、睡眠薬が効いたらしい。


 頬の上の方に、涙が流れた跡が渇いて。少し不愉快だ。


 いや、こんな時は。

 泣いていた。いつもの事だ――。と綴るべきかな?



 頭元の紐を引っ張ると「かっちん」とアナログな音と共に頭元のライトが点灯する。

 そのまま、サイドテーブルの上のタブレットをとると画面を眺めた。

「うわ」


 新着通知に23件も入っていた。


 全部、姉からのラインのメッセージ。


「寝てん? 」

「おーい」

「既読つかんし」

「しんだ? 」

「うそうそ。しぬな」

「おーい」

「もう、ねるぞ」


「なんだよ、これ」

 笑よりも呆れた。そうしながら見ていると。

「ピロン」と軽快な音が鳴り、一番下に新着メッセージが入る。


「既読ついた。起きた? 」

 そのメッセージを見て。

 俺は、笑った。


「いつまで、起きてんだよ。早く寝ろよ、ねーちゃん」



 ――目が覚めると泣いていた。いつものことだ。


――異世界転生まで

  あと23日――

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