62日目
「あの……お姉さんは『百合』ってどう思います? 」
「……はぁ⁉ 」
思わず、大声を出してギョッとしてしまった。
この小娘は、外でなんてことを口にする。
というか、まさか。
「……わざわざ呼び出して『訊きたい事』があるって、これ? 」
私の問い掛けに小娘はこくんと頷く。
「あのね……
まぁ、LGBTとかセクシャル系は本質では色々と厄介そうだけど最近の流行りと言えば流行りだしね……別にいいんじゃない?
アタシの作品では、なるべくメインの登場人物には入れたくないけど……」
小娘はパッと表情を明るくすると「ですよねっ」と笑う。
……こんな簡素な言葉でいいなら、別にこうやってあって話しあう事もなかったような……
「やっぱり、メールだと感情的な物が伝わらなくて……すいません。ご迷惑をお掛けして」
こっちの心情を読みとったのか、彼女はそう付け加えた。
「べ、別に構わないけど……」
図星を突かれて罪悪感を抱いてしまった。
「えへへ、そう言ってもらえると助かります。
お姉さんは貴重な作家女子トモダチですし」
作家女子……友達ね……。
「あ‼ 」
突然、小娘が大声を出すものだから、ビクッとしてしまった。
「何よ、突然……」
アタシの問いに彼女は顔を近づけて言う。
「きめつの、輪廻転生的なラストって、お姉さんどう思いました?? ほら、昨日訊き忘れてたなって」
アタシは、とりあえず両手で彼女を押し戻してから顎に手を当てる。
「そうねぇ……
アタシは好きなラストだったな」
その解答には小娘は少し驚いた。
「ええ⁉ そこは意外でした、てっきりお姉さんってああいう作品には現実的な展開を望まれるかと」
アタシは、天井を見つめて言った。
「なんていうか……信じたくなるじゃん。死んだ後も今の絆はどこかに繋がるってさ」
――異世界転生まで
あと38日――
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