12日目
「ねぇ……くん……ねぇ……君ってば‼ 」
俺は、急いで顔を上げると、そこに難しそうな顔をした彼女が立っていた。
「なに? 夜更かし? 新学期始まって早々、余裕だね? 」
俺は、慌てて口元をゴシゴシと袖で擦ると周囲を見渡した。
「ご、ごめん。ど、どうしたの? 」
俺の質問に彼女は「ふぅ」と一息吐くと、プリントをぺらりと机に乗せた。
「だ・か・ら、図書室の入荷本の希望調査。次の時間でクラスの皆に訊かなきゃでしょ? もう、しょうがないな。アタシが司会するから君は書記おねがいね? 」
いかん、昨夜とんでもない出来の小説を深夜まで読んだからか、とんでもない眠気に襲われていた。おかげで彼女に迷惑をかけてしまう所だった。
しかし、希望図書か。しかもわざわざクラスで会議の時間を設けてまで聞くべきかな? と、思ったが少し天啓の様な感覚を俺は覚えた。
「ごめん‼ 俺が司会をするよ‼ ううん、是非させてくれ‼ 」
教室中に響いたその自分の声に、少し間を空けて俺は自分で驚いた。
「う、うん……じゃあ……お願い……」
うぅ……変に思われてしまっただろうか?
だけど、これは今の中高生の生の意見が聞ける絶好の好機なんだ。姉の滅茶苦茶な作品の骨格がそこに在る気がして俺はやまなかった。
――異世界転生まで
あと88日――
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