11
地下牢前の部屋から出て、地上へと向かう。
カズオ達によればユウとレンが捕まっており、これから2人を助けに行くらしい。
トウタは幽閉塔を見に行った冒険者達と合流すべきだと提案したが、却下された。とりあえず自分達で幽閉塔に向かうらしい。
「皆強いし……問題ないか……」
地上に戻る途中で複数体のモンスターと出くわしたが、4人は瞬殺だった。
神の使徒とやらは、ベテランの冒険者と比べても、格段に強いと考えて良さそうだった。
「僕は別だけどね……」
トウタが勝手に自虐していると、通路の出口が見えてきた。
洞窟のような通路から地上に出たことで、太陽の光に目が眩む。
「え………?」
――飛び込んできたのは、真っ赤な光景だった。
黒い鎧を纏った人間が、左腕をレイカの胸に貫通させていた。
タカ、ワシ、リズは傷だらけで地面に転がっている。
「魔人だ……逃げろ……」
レイカは貫かれたままの魔人の左腕を掴んで、時間稼ぎを図る。
「ほおう、アレが神の道具か。なんとも貧相な奴らよ」
しかし、魔人が腕を軽く振ると、レイカはあっさり飛んでいった。
一目で分かる異常な力。
トウタ達は戦闘態勢に移るも、腰が引けてしまっていた。
「素人め、『曖昧な刃』!」
魔人が片刃の長剣を起動させると、刃が黒い霧に覆われてぼやけていく。
「は!」
魔人が刃を振るうと、トウタは真横から血飛沫を浴びた。
「あ……あ……」
タクシが縦に真っ二つに切れ、左半分の目がトウタを見ていた。
「あああああ!!」
トウタは拳銃を2発放つ。しかし、魔人が羽を閉じると、弾丸は弾かれてしまった。
「どうした、どうした?『吹き荒ぶ極光』」
魔人が羽を開くと、翼から2本のエネルギー砲が照射される。
「『バリアー』!」
「『ディレイ』!!」
サクラはバリアーを張り、トウタは右腕でエネルギー砲を受け止める。
「きゃああ!」
「うく……」
サクラはバリアーを貫通されて吹き飛び、体勢不十分だったトウタは避けるだけで精いっぱい。片膝をついた状態でスキルが切れてしまう。
「そらそら、死ぬぞ?」
魔人が嘲るように剣を振るい続ける。
「ぐ!」
「うあああ!」
「ち!」
刃は四方八方から発生し、トウタ、ジュン、カズオに次々と襲い掛かった。
「……『ディ……」
刃を手甲で防ぎながら、トウタはスキルを発動しようとした。
「なに……これ……!!」
しかし、突然頭の中が鉛に満たされる感覚に襲われ、動くことが出来なくなった。
視界が段々に白に塗り潰されて、ついには何も見えなくなってしまった。
――完全に目が見えなくなる直前、レイカと目があった気がした。
「皆大丈夫かい!!」
脳内の鉛はやがてなくなり、トウタは飛び起きた。
辺りは真っ暗で、よく分からなかった。
鼻腔を擽るのは薬品の香り。体には清潔な布団が被せられていた。
「は?」
月明かりに目が慣れ、周りを確認する。
そこは紛れもなく、現代の病院の一室だった。
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