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武器庫の中は薄暗く、嫌にひんやりとしていた。それ程広さはなく、まばらに武器が置いてある程度の貧相な設えだった。

別に武器の絶対量が少ないという訳ではないのだが、剣や槍などメジャーな武器が置いてあったと思われる場所が歯抜けになっており、残っているのは三節昆だのブーメランだの、使い方が今ひとつ分からないモノばかり。

それらの不人気武器でさえもSR以上は残っておらず、RやらNやらしか見当たらなかった。

要するに、貧しい気持ちばかりが募るのであった。

「皆来て欲しい、Rの剣が残っていた」

モデルのように長身でスタイルのいい、長い銀髪の女生徒ユウに呼ばれ、トウタ、ケイジ、タクシの男子三人が集まってくる。彼らはNとN+の四人。時間が勿体ないとの理由で、いっぺんに詰め込まれたのだ。

「私達は残り物の武器を掴まされる上に、スキルのレア度も低い。協力が必要だと思わないか?」

ユウの言葉に三人は顔を見合わせる。勿論、協力が必要なのは理解できたが、トウタの頭の中に浮かぶのは、低レアが協力した所で何ができるのかと言う疑問だった。

「とりあえず、Rのこの剣は私達の中で一番運動が得意なトウタくんに任そうと思うんだが、いいだろうか?」

「え?」

思いがけない言葉に三人は戸惑いを見せた。指名されたトウタは殊更に。たしかに相対的に見れば正しい提案かもしれなかったが……

「そ、それは無いんじゃないかな!」

トウタが答えられずにいると、タクシが強い声で否定した。その物言いにユウは眉を顰める。

「それはどういう事だろうか?」

「お、俺はN+で、トロタはNクラスじゃないか!俺が持つ!」

タクシはぶっきら棒に吐き捨てて、ユウから剣を奪う。ユウが抗議の声を上げる前に、とっととRの剣を装備してしまった。

「お、俺は行くから、お前たちも早くしろよな!レア度高い人達待たせてるんだからな!」

タクシは捨て台詞を残すと、逃げる様に武器庫から出ていってしまった。

「良かったのか?トウタくん」

「え、いや。ありがとう。僕は他の僕を探すから」

トウタは力のない笑顔を見せると、ユウの視界からすぐに外れる。協調性の無い2人に溜息を吐きつつ、ユウはケイジに愚痴を零した。

「協力しないといけないのに、皆何をしているのだろう?与えられたレア度比べをして仲間内でマウントを取り合い、あまつさえ自身の身を他人の下に置こうとすらする」

ユウの声に多分に含まれる苛立ちを察したものの、ケイジは仕方ないと肩を竦めた。

「現実感がないんだよ。いや、現実を見たくないのさ」

「だから敢えてゲーム感覚や、逆に日常の延長線上にいるように振る舞うと?」

「意図的ではなく、無意識的なものじゃないかな?痛みがデジタルや文字上のものであって欲しいのさ。神経の反応ではなくね」

「度し難いな。それでは改善の余地がないではないか」

 ユウは怒りをあらわにするが、ケイジは力なく首を振る。

「いや。きっとすぐに現実が襲ってくるさ。修学旅行気分は、それまでさ」

「……それだと遅いではないか」

そうだねと呟いて、ケイジは武器と防具を探し始める。

ユウはまだ何か言いたそうだったが、仕方なしに自分の武器を探すのだった。

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