暁の妖

速水すい

零ノ序盤・モノローグ

特に変わりはない、日常。

そんな日々も、なくなろうとしていた


ーーーーーー


7月23日、丁度お昼。

この日は、普段通りに下校ーーーー


なぜこの日は帰るのが早いのか…かんたんである。夏休みだからだ。


HRホームルームを終えた生徒は、夏休みの予定を話し合ったり、近くにいる友達と楽しく話し合ったりとザワザワする教室

そんな隅っこで窓辺付近の席に座る1人の少年


目の前には海が見えて、波は太陽の光で反射している。そんな光景を肩肘机に左頬に手を添えて眺めていた。


(もう夏休みか……)


机の脇にあるカバンを手に取りゆっくりと席を立つ、すると背後から首に腕を組まれて

「さて、公平くんよ。夏休みはどうする気だ?」っと聞いてくるクラスメイト。


俺は「なんもしないし、読書とかでいいじゃんか」っと答えた。

そのクラスメイトは「つまんねぇなぁ。お前には夢や希望や海の野望はないのか!?」っと迫真の発言にやや苦笑い。


だいたい俺はそんなものには興味を抱かない

男だけど、儚い結果として終わるなら興味を抱かない方がいいと思えた。


ーーーーーー


時間が持て余したので、近くの書店に立ち寄る。暑さも暑さで耐え凌ぐには良い場所だ。

手に取ったのは、ラノベタイトルの書籍である。

アニメ化やゲーム化などする作品は、遊んでから見てからじゃ内容が入ってこないからである。


とはいえ、俺はアニオタでもない。


最近ハマってるのは、異世界転生物…現実味がなくて読みやすい。

非現実的とはこうなのかと思える


書店を後にした俺は、自宅に帰ることにした


キーを鍵穴に刺して一回転しガチャンっと音がなり解除する。


ドアを開けて、数歩進んだ瞬間インターホンが鳴り響いた。


もしや…が来た…?


恐る恐るドアを開けると…赤いランドセルを背負った少女が1人。


「ど、どちら様…?」

「お兄ちゃん私を忘れたの?」


身に覚えがない…いや的確には知らない子だ

その一言は、まるで妹を思わせる。


「えーと、人違いじゃ…?」

「私だよ?ーーーだよ」


やっぱり名前が聞こえないーーーー

俺がそんな現象が始まって2ヶ月は経つ。

元々は、全部普通に聞こえていたがある日突然…こうなった。


「お兄ちゃん?顔色悪いよ?」


この子はそうなる前に遊んでやってた

名前もわかるはずなのに思い出せない

だから…こう答えるしかない。


「大丈夫だから…今日は帰って…」

「う、うん…またね」


そう言って扉を閉めた。

俺はそのままベットに向かい横になった

元々は霊感は強い方だった

それは幼い頃で、誰かと居たのは覚えてるが…思い出せない。

まるで顔に白い線が引かれたようにだ。


…………。


次が目を覚ましたのは、夜だった

どうやら数時間は寝てしまった

汗ばんだ体をシャワーで洗い流して、着替え直す。


ヒューーー…バァン!!


花火の音だ、この日は村では夏祭りが開催されていた。

もちろん、これは学校側の開催で村独自ではない。

村の祭りは、ここから数百メートル離れた神社で行われる。

しかしまぁ、15回目となってるが…実際は何百年も続いてるらしいが…。

何回リセットしてるのだろうか?って思えた


7月30日、この日は雨が降ってる

梅雨明けはしてるが、たまにある唐突雷雨

この日は別に用はないので、エアコンを付けてテレビゲームをしていた。


8月2日、この日は猛暑日だった

路面に溶けるアイスと、群がるアリを幼い少女が眺める。

俺は軽くため息をついて声を掛けた


「君暑くないのか?」

「暑いよ?でもね…私ここから動けないんだ」

「え?それはどうゆうーーーー」


少女が振り向くと、顔半分が血が流れた様な赤く染まって、もう半分は普通だった

俺はやや驚いた顔をしたが軽く目をつぶり普通の顔に戻る


「私、悪い事したかな…?」

「……してないさ」

「お母さんは泣いてるし、通る人に声掛けても無視されたの…。お兄ちゃんはなんで私が見えるの?」

「俺はんだ。そっか…寂しかっただろ?」

「うん…。そっか…私は…」


俺は少女の頭を軽く撫でた


「泣かない、元気出いればまた会えるよ」

「…お兄ちゃんって結構やばい人だね」

「え?」

「一応、私女の子だよ?軽々に頭撫でちゃダメだよ?」

「えー…。見た目によらずだな現実的だな…」

「ってお母さんは言ってたけど。お兄ちゃん悪い感じしないから…」

「えーと?」

「…決めた。生まれ変わったらお兄ちゃんのお嫁さんになる」

「えぇぇ!?」

「私と出会うまで死んじゃダメね、バイバイーーーー」


その幼女は、強い光を放って消えた

再び幼女にモテた俺は、何かを挫折した

大半、幼女に話しかけるからこうなるんだが…いつもお嫁さんになる。って言われてる

これはなにかまずいけど、悪い気もしないからかなり複雑な気分だ。


学校に行けば、セーラ服の少女いるが…あれは何かヤバい気配しかない。


そもそも、自殺霊は地縛霊と同じくなる

もちろん交通事故でも同じの扱いになる。


そして、それを面白がって肝試し乗じて

安らかに眠ってる地を起こしに行くような真似をする行為は現代的に問題である

それこそお怒りになるだろう、何故なら自分たちが寝てるのを邪魔されたら嫌だろ?それと一緒さ。


この日は、やけに周りにそうゆう人が沢山いる…そろそろ近いからか…8月15日。


8月12日、お盆入りをした村はお盆祭りの準備をしていた。

学校の生徒も参加して、あれやこれやの準備と俺は相変わらず霊に話しかける

まぁクラスから浮いた存在だから気にはしてない。

8月15日は、お盆の中間地点でもあるが…

この日は地獄の釜の蓋が開くと言われていて

天国からの帰省と地獄からの帰省がある日

その日、激しい行動するとバチが当たる…それはお盆中でもあるが、15日だけはそれが特大率になる…現代人は守りませんし知らない話だろうけど。


まぁ、話を変えようか、友達は、あまり欲しいとは思わない

理屈的には「友達だっけ?」や「ごめん友達辞める」なんてすぐ人を投げ捨てる。

そんな人がゼロではないこの世界、まず何を求めるか…最小限の友達と霊(公平個人的な展開)

そもそも、友達とはすぐ裏切るのが定着である。信じ切るのは良くない、半々が1番である。


そう言いたい俺は、霊を導く行動

そして夏祭りの準備に徹していた。


そして、13日に日付が変わる頃には準備が終わり…村の人々は明日の準備の為に帰った

そして、公平はクラスメイトと一緒に帰えろうとした時ーーーー


(時は来た、今こそ始めようーーーー。)


俺は思わず後ろを振り向いた

だが、そこには誰もいなかった。


「………」

「公平?」

「……気のせいか?」

「おーい、置いていくぞ」

「あぁ…今行く」


公平はクラスメイトの元へと走った

そして…そのままクラスメイトの家で枕投げ大会がはじまったのだった。


そしてーーーー舞台は次の日の夏祭りへと繋がるーーーー。



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