インタールード

対角線論法

「パラレルワールドってことですか」

「レイン君、私はその考え方が嫌いでね」

「世界線とか」

「でも、パラレルワールドと世界線は厳密に言うと違うとか」

「その差は、私にはあまり意味がないな」

レインは少し考え込む。

「そうですか」

「ということは、先生はタイムトラベル否定派」

「ちょっと違うね」

「パラレルワールドにしても、世界線にしても」

「カントールの対角線論法と同じくらい胡散臭い」

レインは画面に映った男を見て微笑む。

「先に言わない」

「先生の口癖ですから」

「背理法もダメなんですよね」

「ダメとは言っていない、ただ胡散臭いだけ」

「わかりましたよ、先生」

「それじゃ、また」

レインは、ビデオデッキのボタンを押す。

ビデオテープが排出されて、

レインはそれをケースに収めた。

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