introduction11
やあ、お前か。
調子はどうだ?・・言うまでもないか。どうした、今日はやけに無表情じゃねえか。
おい、無視すんなよ。なんだ、今度はヒネてだんまりか。忙しい奴だぜ。
ほら、世間話する気がねえんなら、とっととサインしてゲートをくぐれ。
・・・ん?
おい、待て!止まれ!お前、何か隠し持ってるだろう。検めさせろ。
・・・おい、このナイフは何だ?なんで懐にこんなもん隠し持ってやがる。
護身用?何だお前、とうとう夜道で襲われるような人気者になったのか?
まったく、なんだって取材にこんなもんが・・。まさかとは思うが、お前ここの奴等に唆されたんじゃねえだろうな?
たまにいるんだ。ここの奴等に入れ込んで脱走させようと企む馬鹿がな。もちろんそんな馬鹿は警察に引き渡す手筈になってる。
おい、こっちを見ろ。俺の眼をみるんだ。
お前、このナイフで何をしようとした?ああ?
・・・・・ふん、眼を見りゃわかる。お前、怖いんだろ?取材をするのが。
無表情を装おうが、内心はビビってるな。おどおどしやがって。だからって、こんなもん持ってどうにかなることじゃねえだろう。
いいか、ここまで来てビビってるんじゃねえよ。奴等を喰い殺すくらいの気概で取材してみろ。
意味が分からねえって顔だな。いいか、お前も成りきるんだよ。ここの奴等と同等のサイコにな。
狂った奴でなきゃあ、狂った連中の相手はできねえ。もっとも、お前は元から違う意味で狂ってたがな。
ほら、分かったらさっさと行けよ。ナイフの件は本来なら出入り禁止沙汰だが、一度だけ見逃してやる。
それで、今日はどっちにするんだ?残ったのは最後の奴を除けばもう二人だけだ。こいつかこいつかの二択だぜ。
・・こっちの方か。こいつはな、小物だが小物故に面倒くさいぜ。口も回るしな。忌々しい奴だ。
ほら、取材して来いよ。お前もサイコパスに成りきってな。本物のサイコパスはナイフなんかに頼らねえ。気迫だけで相手を殺すんだ。
そうなれば、お前は—————。
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