『モノの世界史』宮崎正勝
『モノの世界史 刻み込まれた人類の歩み』宮崎 正勝∥著(原書房)2002/07
広義の意味合いでの「モノ」、生活習慣、巨大な装置・システム・道具など人類が創造したあらゆる「モノ」の生成、伝播、変容をつないで世界史のアウトラインを叙述していく試みの一冊です。
前回紹介した『世界はいっしょにまわってる』と同じように「モノ」で世界史をつなぐという印象です。これ、あまりに説明が詳細で多岐にわたってるので、4週間かけても半分しか読めませんでした~。気になる箇所は何度も読み返さないと覚えられない。しょーもないです。でもとてもためになるので間を開けて後半に挑戦しようと思ってます。
私的には、生活様式や道具はどんな必然性があってそうなるのかっていうのを突き詰めて知りたかったのですけど、この本ではどうやってモノが伝播して行ったかに尺を取ってます。ローマ帝国の道路網やモンゴル帝国の草原の道、イスラム商人の交易ネットワークを辿ってどう文明が交流したか。
前半を読んだ限りすごいのは遊牧民族とムスリムの存在感ですね。例えばパルティアの太陽神ミトラの誕生日(冬至の日)をイエスの誕生日として組み込み、キリスト教指導者が競争相手のミトラ教を吸収したっていう。このミトラ神がクシャン朝に伝わると大乗仏教に組み込まれ未来仏「弥勒」になったという。
京都フリークだった私がいちばん好きな仏像が広隆寺の「弥勒半伽思惟像」なのですけど、この弥勒様が椅子に座って膝で頬杖をついた姿勢なのは遊牧民の椅子に腰かける座法の影響だそうです。ほほう。
初出:読書メモ④近況ノート2018年5月29日
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