第6話 1月6日 今期冬アニメ



 仕事始め。新学期。

 世間の皆様ごくろーさまですがんばってください。俺には関係ないから。

 オカンも俺の昼飯におにぎり用意して打ち合わせに出かけてった。


 家に一人だと、なんか完全にニートっつーかヒッキーな気持ちになる。そこらへんの違いはよーわからんけど。

 静かだし、さぞや勉強がはかどる――と思うアナタはまだまだ甘い。

 センターまであと少しだというのに、追い詰められると他のことがしたくなるこれをなんと言うんでしょう。逃避か? 逃避だな。


 動画はなんか見てるとイラッとすることが最近多くなったので、お気にのアーティストのPV以外は封印してる。なんでこんなつまんねー企画で大はしゃぎ出来んだよとか、クソ萌えるvtuberでも中の人は薄ぎたねーオッサンだろとか、ついつい闇があふれ出してしまうのだ。



 その分、アニメゲームマンガはまだマシで救われる。たぶん、中の人があまり透けて見えないからだろうな。

 今期の冬アニメがほぼ出そろったから、我が家の視聴録画会議をそろそろ開かんと。


 うちは基本家族ほぼすべてがインドア派でオタク傾向アリアリなので、会話の中で普通にアニメ言語が通用する。その分、深夜アニメの視聴時間と録画の選択で、すりあわせや調整が必要となることがあるのだ。どれを見るか、どれを撮るか。悩みはつきない。兄貴がいたときはもっと熾烈な争いが起こってたから、今はまだマシだけど。


 

 今期の俺の推しは、『異世界クインテット』と『うちキャン』の二本。正直今はめんどくせえアニメは見る気しない。脳のリソースそこに使いたくねー。


 七海は、今あいつがプレイ中のソシャゲがアニメ化した『B3!』と、オリジナルSFミステリ『AD:UNVADED』。『B3!』はともかく、もう一本は珍しいなと思ったら、主人公が推しの声優なんだそうだ。へーへー。


 オカンも今回は意外なのを推した。『恋する小天体』。

 ゆるさがうりのふわふわ女子高生もので、俺はいいけど、かなりいいけど、オカンにしちゃ珍しいと思ったら、

「高校生の時の自分が野外調査部だったから! 野外調査っていうのはねー、地質調べて石掘ったり、天体観測したりー」

 あーはいはい。それ以上は聞きたくねー。

 あとは、『魔道師サーフェンまぐれ旅』見て、中二病の詠唱をいっしょに唱えたいそうで、我が親ながら、趣味がよーわからん。ま、そういう人だから、地方ラジオ局の放送作家なんかやってられるんだろーけど。




 新城からは、無事新学期が始まったというメッセが来た。

 あと、亮太からも。



 おつかれさん、と無難な返事を返しておいた。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る