6 プレゼント

わずかな陸地に戻った酔っぱらい


全身に張り付いたヒル


血まみれ


やったね。


虚ろな表情。


ヒルをちぎる動きも


弱くなって。



今までいじめた人間


ご両親


コンビニエンスストアの店員さん


───



気を失った


眠った───



かわいそうなので


僕はサプライズプレゼントをあげることにしました。


ほっかほかの、お弁当と、ペットボトルのお水。


枕元に、そっと置きます。


───枕はないけど。



僕はハエ


だけど、いろんなことができる、ハエ。




やっと、起きてくれました。


出せよ?


ううん。出さないよ。


相変わらず、怒鳴り散らす酔っぱらい。


もう、酔っぱらっていないけど


酔っぱらい。



弁当を手に取る


水を飲む



ごめんね。


箸はないの。


手があるから大丈夫だよね?



お弁当のふたを


うまく使う酔っぱらい。


おいしかった?



僕はハエ


自由な、ハエ。

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