幼なじみが両想いとは限らないだろうが

第1話「赤瀬冬華という女について」

　赤瀬冬華はかわいい。

　腰までかかる長い髪はよく手入れされていて、さらさらで綺麗だし、毎日、髪型を変える辺りもおしゃれだ。長い睫毛に守られたどんぐりのようにくりくりと丸い瞳は、いつもきらきらと輝いている。高校一年生としては少し幼い顔立ちも人形みたいで愛くるしい。背が低い割に、胸はそこそこあるのも魅力的だ。

　性格も太陽にみたいに明るくて、誰に対しても優しく接する。こないだも迷子になっている子どもを見つけて、一緒に保護者を探してあげていた。

　そんな彼女だが、趣味はマンガを読むこと。しかも、結構ディープなマンガ読みで、マニアックな話も通じる。そんな所も俺と趣味があって、一緒に居ると楽しい。

　あとはちょっと鈍くて、天然なところもあって、そんなところもかわいいのだ。

　だけど、俺は彼女に対して素直になれない。

　なぜなら、彼女が俺の幼なじみだから――