第936話 【番外編】アマビエさん、カメレオン化

 他の面子はまだ来ていない。


「アマビエさん、美味しそうなメロンパンが……」


 言いかけて、僕の真横で「ヒュバッ」と小さな音がしたことに気づく。音の方を見ると、さっき買ったばかりのソフトクリーム、そのコーンより上だけが綺麗に消えていた。


「は!?」

「……アマビエが舌でかっさらったのよ。止める暇もなかったわ」


 クタベさんがため息をつく。


「今のアマビエに食べ物を見せたら、一瞬で持って行かれるわね」

「骨身に染みました」


 さようなら、僕のソフトクリーム。後でこれだけはアマビエさんのお金から返してもらおう。


「はい、メロンパン」

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