第834話 アマビエさん、黙って聞く

「履歴書ちょうだいしますね」


 僕は相手が差し出してきた書類を見る。年は僕より十個上、私学の薬学部卒。今まですぐに辞めた店はない。管理薬剤師の経験もあった。経験は十分だが、なぜかここ半年くらいの職歴がない。


「この半年は何をなさってたんですか?」

「……何もできませんでした」


 男性は今にも舌を噛み切りそうな顔で言う。僕は困って、社長を見た。


「実はね、前の店舗でひどい虐めにあっててね。僕が辞めるよう勧めて、半年ほど休養してたんだよ」

「……そうなんです」


【薬局あるある】密室空間なので、イジメがはびこるケースもある。

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