第586話 アマビエさん、いずこを歩く?

「あの時、転売と買い占めやってた奴は頭打って死ねばいい」


 クタベさんの目が完全にすわっている。苦渋をなめたのは人間だけではないようだ。


「……でも、そんなことはいつまでも続かないよ。行政も重い腰をようやくあげたようだ」


 薬局長に話しかけられて、僕は振り向いた。


「若年で基礎疾患がない──つまり重症化リスクの低い患者にキットを配って、それで検査してもらおうっていう動きがあるんだよ。もちろん、代金は市から出るからタダ」

「それはいいですね」



【薬局あるある】

困った事態が続けば、行政もとうとう重い腰を上げる。

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