第359話 アマビエさん、都合のいい耳

「なに!? そんな効果が!?」

「チッッ」


 事務の子とアマビエさんが言うと同時に、黒頭が特大の舌打ちをした。


「都合のいいところだけ切り取りやがって。幸せな頭だな」

「アマビエは幸せである」


 アマビエさん、後半部分しか聞いていない。……放たれたのは褒め言葉じゃないが、ポジティブな単語は拾う耳だ。


「確かに、スポーツ選手も脂肪を燃やす着火剤として、白米や果物を利用することがあります」


 白頭が言った。


「ですがそれはあくまで、『後に運動すれば』の話です」

「ああ!」


【薬局あるある】都合良く解釈する人、想像以上にたくさんいます。


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