第94話 【番外編】アマビエさん、ブレイクハート

「彼女は昔からそういう絵柄で」

「…………」

「決して、悪意があるわけでは……」

「…………」


 アマビエさんは、無言のまま帰っていった。


「もう来てくれなくなったら……」


 僕ははっとした。うちに来ないだけならまだしも、「こんな国嫌だ」と思われてしまったら……疫病が国を覆ってしまうかもしれない。


 冷や汗をかきながら、薬局の外へ出た。やや目をつり目気味にしたアマビエさんが、そこにいる。


「可愛い路線を捨てハードボイルドにいく」

「アマビエさあああん説明しますからああ」


 抽象画、という概念を理解してもらうのにしばらくかかった。

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