第58話 アマビエさん、見落とす
「頼む」
「すっかりおなじみですねアマビエさん。今日は目薬ですか」
僕は話をしながら、事務の子に処方せんを差し出した。
「血走った瞳では、皆をがっかりさせるからな」
「アマビエさあん」
胸を張るアマビエさんに、事務の子が話しかける。
「なんだ?」
「処方せんの期限切れちゃってますよ。このままじゃ受付できません」
僕は横から紙片を覗きこむ。確かに、発行日は五日前になっていた。
「アマビエさん。ここに書いてあるでしょ? 発行日を含め、四日間有効って」
【薬局あるある】書いてあるとはいえ、CMの小文字並みに小さい期限表示。
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