第28話 【番外編】アマビエさん、嫌味を言う

「アマビエさん、その呼び方やめて」


人のよさそうな垂れ目の男性が、半魚人の後から入ってきた。この人がヤのつく家業だとしたら、見た目とのギャップがすさまじい。


「アマビエさんは、薬剤師をヤクザって呼ぶんです」

「お前だけな。薬局長は尊重している」

「嫌がらせじゃないですか」

「悔しかったら、早く一人前になれ」


アマビエ、と呼ばれた個体は胸を張る。反社会勢力ではないと分かって、店員も客も安堵した。


「もう食券は買いました?」

「なんだそれは」

「教えたのに。あそこの機械ですよ」


券売機を見て、アマビエの眉間に深い縦皺が走った。

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