第26話 アマビエさん、励ます

「もう来るもんか。消えろ、化け物!」

「三十番キャンセルでーす」


事務の子は引き止めず、トドメを刺す。待合に安寧が訪れた。


「さ、順番にやれ」

「心得てます」


僕と薬局長は、ようやく患者をさばききった。


「アマビエさん、すみません」

「何故謝る」

「化け物扱い……」

「お前はクズに批判されたからって落ち込むのか?」

「いえ」

「我も頑張る。お前も頑張る。必要な時は我慢する。世の中はそういうものだ。精進しろよ」


アマビエさんは颯爽と帰っていった。持って帰るべき消化剤を残して。


【薬局あるある】投薬が終わった後の忘れ物に気をつけて。

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