死の方程式(資料)


 今回は「死の方程式」を取り上げます。第1シーズンの6話、通算では8作目の作品です。

 犯人はロジャー・スタンフォード。特色は自身が優秀な成功者ではないというところでしょうか。コロンボシリーズの基本フォーマットには、社会的な成功を収めたエリートが、風采のあがらない刑事と対決するというものがあります。

 ここまでの作品に限っても伝説的な英雄の退役軍人、高名な美術評論家など、一般庶民とは接点のなさそうな人物ばかり並びます。そんな優秀な人が隙のなさそうな計画犯罪を企てる。そして、いきなり視聴者はそれを見せつけられる。これは完全犯罪ではないか、と思ったところにコロンボが現れ、外見からは想像もつかない鋭い観察眼と推理力で徐々に犯人を追いつめていく。これがシリーズの大きな魅力であり、お約束でもあるのです。

 ところが、今回の犯人、ロジャーは大会社の創業者の息子という設定。みなさまの想像通りの遊び好きのダメ男です。

 努力して築き上げた地位を守るために、能力を用いて完全犯罪を企てるという定型から少しずらしているのがポイント。

 現社長である叔父、バックナーから役員の座を追放されそうになったロジャーは小型爆弾をつかって、自動車事故に見せかけてバックナーを始末しようとします。

 ロジャーを演じたのは、ロディ・マクドウォール(1928ー1998)。最初の放送が1972年1月19日ですから、ロディ・マクドウォールが44歳頃の作品です。

 このロジャー、創業者の息子ということもあり、とにかく軽い。軽佻浮薄と四字熟語で表すのではなく、カタカナで「ケーチョーフハク」としたほうが伝わるほど、ぺっらぺらの人間(に見える)。ひらがなのほうがよりバカっぽさが伝わるかもしれません。

 そういう役柄のせいか、とにかく笑う場面が印象的です。これは日本語版で吹き替えをした野沢那智さんの影響が強いのかもしれません。

 一応、カッコ書きで、見える、としたのは「もしかしたらコイツ、わざとバカ息子を演じているのではないか」と深読みを誘う部分があるから。外見で判断すると痛い目に遭うぞ、というのはコロンボが発しているメッセージでもあります。

 さて、けーちょーふはくのドラ息子、ロジャー・スタンフォードを演じてもらうなら誰か。会議を始めましょうか。

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