62日目 ソファー

2-A教室前。


放課後になりスカイラーは職員室に行ってから帰ろうと2-Cの教室を出て、2-A教室前を歩いていた。後ろから椿の声が聴こえてスカイラーは振り向いた。


〈椿〉ん?おーい!スカイラー!


〈スカイラー〉ん?椿...なに?


〈椿〉どこ行くんだよ!今日、部室いくだろ?


〈スカイラー〉あ、ごめん。今日は職員室に行ってから帰るよ。このあと用があるし


〈椿〉お、そうなのか?わかった。ところで、用ってなに?


〈スカイラー〉なんでもいいじゃん!もう行くね!


スカイラーは素っ気ない態度で答え、走ってその場から職員室に行ってしまった。


〈椿〉あいつどうしたんだ?


椿はまだ、この時はなにも思わなかった。ただ、少し気になっていた。


椿は部室に向かった。


椿は部室に入り、部室の奥にある小さなソファーに座った。


椿が少しぼーっとしていたところに一星が入ってくる。


〈一星〉おっ!椿じゃん!ははは!うかない顔だな!どうした?


と、一星は椿の近くに座る。


〈椿〉...ん?なにか言ったか?


〈一星〉え?聴いて無かったのか?うかない顔してたけどどうしたんだ?


〈椿〉あ...うかない顔ね...おれそんな顔してた?


〈一星〉お、おう 


〈一星〉そういえば、5月の剣道大会中止になったって


〈椿〉そっか...頑張ってたのにな...


〈一星〉まあな。それで、どうしたんだ?


〈椿〉ん?あ、なんと言うか...気になるんだ...


〈一星〉気になるってなにが?


〈椿〉スカイラーだよ


〈一星〉スカイラーが気になるのか?なにかあったのか?


〈椿〉んー、よくわからない。けど、最近学校終わって帰ることが多いからさ。今日も職員室行ってから帰るって。このあと用事があるみたいでさ


〈一星〉んー、そうだな...なあ椿


〈椿〉ん?


〈一星〉もしかしたら勘違いかもしれないし...なにかよほど大事な用事なのかもしれない。そうだろ?


〈椿〉...まあたしかに


〈一星〉あの子さ、結構強がるだろ?まあスカイラーはスカイラーの感情だけど...みんなに心配かけたくない...そんなことをもしかしたら思ってるのかもな?

ここは心配性なやつが多いからな。自分の心配より人の心配をするようなやつらばかりだからな。

椿、あいつはあいつなりの方法で表してくれるよ。結局お前を信用してるからな


〈椿〉信用?感情?心配性?なんの話だ?


〈一星〉あぁ、いや...つまり、スカイラーなら大丈夫だってことだ。だけど、あの時みたいに悪い方に行くかいい方に行くのか、それはわからない。だからお前はスカイラーの友達としてこの部活の仲間として、スカイラーを信じろってことだよ。じゃあな、剣道の大会無くなったけど、練習はあるんで


〈椿〉おう!がんばれよ!


一星は、少し部室に寄って椿と話して、剣道の道場に向かった。


〈椿〉スカイラーを信じろ...か


〈椿〉そうだな...あいつは強いからな


そこから一斉に道久と要と国分先生が話ながら部室に入ってきた。


〈要〉おっ!椿!もういたのか?声かけろよ!


〈椿〉おう!ごめん!


〈国分先生〉今日はスカイラーがいないからおやつ無しかー


〈要〉あたしがつくったるよ!


〈国分先生〉いや、いい...やめろ


〈道久〉完全に要さんをバカにしてますね


〈要〉あったまにきた!こちょこちょしてやる!


要たちがきて、いつものように賑やかになった。


椿の眼には、普段と変わらない光景が写っていた。


ー 62 ソファー ー おわり

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