転生先はBLゲームの主人公のライバルでした。
橋倉 輝
転生
第1話 転生したのは...
「こいつがどうなってもいいのか!!」
頭にヒヤリとする物が当てられ、人生の最後を悟った。
「やめるんだ太郎!!そんなことをしてもなんにもならない!!」
あー、これがBLならこの2人は恋に落ちて…
なんて呑気な事考えてたら鼓膜を破るような音が響きそこで俺の意識はなくなった。
「っは!!」
目を覚まして勢いよく体を起こす。
確か、俺は…。
「…天国にもこんな硬いベットがあるんだね。」
銃声が聞こえた時には意識を手放していた。つまり、
「だっさ。強盗で人質にされた挙句、最後の最後まで目の前のBLを見れなかったとは…警察の人が犯人の名前呼んだとき…犯人が小さな声で先輩…って言ってたの聞いちゃったなぁ。やべぇ思い出し萌えだわ…。」
1人でブツブツ言ってたら目の前にひょこっと顔が出てきた。
「…」
「…」
「あっくん。大丈夫?」
正直に言おう。
「かわい子ちゃん何人食ってきたんだコノヤロー。」
「えっとー、50人くらい?」
素直かよ。あれ、なんか見た事ある気が…
「あっくん元気だね。良かった良かった。」
「えーっと、誰?」
「え?なに、そーゆー設定?やめときな。俺の気は引けても、魁斗は絶対無理だよ。」
魁斗…
俺はもしかして…
急いでベットから出て近くにあった鏡を手に取り、
鏡の中の自分と目を合わせる。
「あ、やばい。海堂 新(かいどうあらた)が目の前に…カッコ可愛いわぁ…」
目は切れ長二重、鼻が高く唇はこの小顔にあったいい大きさで横にスっとのびている。
身長は平均男性と変わらないくらいだろう。
「あっくん。どうしたの?」
後ろから抱きつく形でお腹に手を回されやっと我に返った。
男は首を少し傾げて目線を合わせた。
「えーと、あなたは、有須 レオン(ありす れおん)ですかね?」
鏡越しに問いかけると男はそうだよ。と微笑んできた。
やめて欲しい。破壊力がパないんですわ。
「てか、まだやってんの?」
レオンの話を無視しつつ頭の中はある事実にウハウハ。
これは、確実にあの、俺が愛してやまなかった、
『春の香りがする頃、また恋に落ちる。』
略してハルコイ。
というBLゲームの世界という訳だ。
「あっくん?聞いてるの?」
ということは…あの転校生君と会長のイチャイチャをこの目で見れるということか!?
「あっくん。戻っておいで?やっぱりなんかおかしい?」
待てよ…俺は海堂 新ということは…
「あ、やばい。主人公のライバルやんけ。」
「ライバル?誰が?」
「絶対に俺、転校生君のライバルだよな。」
「…もういいや、とりあえず午後の授業ちゃんと出なよ。」
ヤレヤレと首を振ってその場を去ろうとしたレオンを俺は呼び止めた。
「レオン!今日何月何日?」
「6月7日だよ。」
じゃあね。と手を振って今度こそ立ち去ったレオンの背中を見ながら俺は1人頭を抱えた。
6月7日って、明日転校生が来る日じゃん。
見るからにレオンは転校生を知らなさそうだったし、となるとゲームのプロローグから俺の新たとしての人生がスタートしたわけだ。
そして最初のイベントがすぐ起こるわけだが、そこに俺は必須である。
転校生をいじめるという重要な役。
鏡をじっと見つめていると、海堂 新の記憶が自然と見えた。
攻略キャラは全員で6人。
無事ハッピーエンドを迎えたところで俺は決して幸せになれないキャラである。
だが、転校生推しだった俺は全力で転校生をいじめてやる。そう誓った。
午後の授業はもちろんサボった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます