第2ページ 死にたくないよ……!
「嫌っ!来ないで!」
街灯の少ない裏路地から、少女の悲鳴が響き渡る。
女子高生が逃げるように走っていた。
その後ろを追いかける、スーツ姿の中年男性。
「待てよぉ!逃げるなぁ!坂上ぃ!」
酷く興奮したような鈍い声。
少女の恐怖心を煽るには十分すぎた。
そして何よりーー
中年男性は、少女の通う高校の教師だった。
「そんな……!金下先生がっ!?」
少女は必死に逃げる。
慣れない夜道を必死に逃げ、絶望の淵へと迷い込む。
角を曲がった所は、塀に囲まれた行き止まりだった。
「しまった!」
そこへ後ろから追いついた金下が、道を塞ぐ。
「へへっ!追い付いたぞ!」
「嫌っ……!来ないで……!!」
坂上と呼ばれた少女は、以前から何者かのストーカー被害に合っていた。
ただそれが誰の仕業なのかも分からなかったが、今目の前の金下先生が正体を現して夜道で襲いかかって来た。
「さ、坂上ぃ……!やっとお前と2人になれた……!助けを呼ぼうなんて思うなよ!?俺に逆らったら、すぐに殺してやるからな……!」
正気を失ったイカれた表情。
金下は懐から小さなナイフを取り出した。
小さいといっても、刃渡り10cm程のナイフで、人を従えるには十分過ぎる物だった。
それを見た坂上は、当然恐怖心が加速する。
「ナイフ!?先生ちょっと辞めてよ!お願いだから……!」
金下先生は体育教師。
体格差は歴然で、力は到底適わない。
周りは高い塀に囲まれ、到底登れる高さではない。
少女は恐怖のあまり泣き崩れ、同時に迫り来る死を覚悟する。
「もう逃げられない……!お父さん……お母さん……!死にたくないよ……!」
ーー他に選択肢がないと諦める。
そんな人々の前に、俺達は颯爽と現れる。
俺達は”選択肢を与える者”。
「そんな選択で後悔はないか?」
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