Drama19. 「語り草」


「語り草」山崎風樹



 友人の出版社の人と話をして、これから、人を育てようという話になった。

 私は、「東京の純粋な女性が、今の時代、大阪には必要だ」と主張して、東京の22歳の新卒の女性を紹介してくれるように、頼んだ。


1.書き出し


 まさか、恋愛を六にしてこなかった私が、30歳も年下の女の子に恋をするなんて、思ってもみなかった。


 ゲーテの『若きウェルテルの悩み』にも似た、年配者の私と、ずっと年下の女性との恋だ。


 私の想いは、葛藤と堂々巡りを巡らした。

 苦しい。

 けれども、苦しいだけではない。心地よい苦しみだ。


 フランスのフランス革命の理論構築者ルソーは、こう、『エミール』でいう。




「万物の創造主の手をはなれるときは、すべて良いものであるが、人間の手に移ると、すべてが悪くなる。人間は、ある土地に、ほかの土地の物を産物を作らせたり、ある木にほかの木の実をならせたりする。

 風土・環境・季節をごちゃまぜにする。

 (略)

 何一つ自然が作ったままにしておかない。人間そのものさえそうだ。

 (略)

 若い植物が枯れないように、それを育て、水を注ぎなさい。

 (略)

 私たちは、弱いものとして生まれる。私たちには、力が必要だ。

 私たちは、何も持たずに生まれる。

 私たちには、助けが必要だ。

 私たちは、分別を持たずに生まれる」

 私たちには、判断力が必要だ。

 生まれたときに、私たちが持ってなかったもので、大人になって必要となるものは、すべて教育によって与えられる。」


 何度も呼んだルソーの『エミール』の冒頭を呼んで、私は、ふと考えた。


 “私は、何かを育てたい。もう一度、誰かを育てたい。そして、何かを互いに育みたい”

“教育。それは、かつて私が若き情熱を燃やした生業(なりわい)。”

“教えるという教育より、私は、「伝える」ことに、重きを置く。”

“社会や時代を動かす原動力の「正しさ」を、私がみつけてきた「正しさ」を、伝えたい。”

 “私は、私の残りの人生のすべてを、その後の魂を共に永遠に過ごす女性(ひと)と出会いたい”

 “私は、その女性に何かを伝えて、これからの社会の時代の「正しさ」を、その女性と見つけ出していきたい”

 “それが、私の今の、生きる希望の破片(かけら)であり、すべてである”

 

きっと、そんな希望の破片が、私がいま求めるものー愛―なんだと、私は感じている。


―愛―


 私は、今、愛を求めている。

 私は、今、愛を探している。

 私は、愛を育みたい。


 これが、今、伝えたい私の「正しさ」なのだ。


 -愛―こそが、すべてだ。


「語り草」山崎風樹

1.書き出し

2. 小説家(50歳)は、大阪で電子書籍の執筆活動をしている。

3.マンションでの女史との出会い

福祉の話

生活保護の人の話

小説家はお金をなくし、飢え死にを感じる


4.女史への想いを唄にする

本気で君を愛してるーto Fairy Angel―

5.出版社へ女史を訪れる

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る