立ち入り禁止



高校生の頃

学校まで電車で30分ほど。



ある朝、通学途中のこと

まだ脳みそが

半分くらい眠ったままの状態で

人が多い車内だったが座れた。


私は眠いので、うとうと。


すると、横にいる人がトントンと

私の肩を叩いた。


横を見ると、スマホの画面を

見せてきた。


なにやら

書いてある。


「 前に立ってるサラリーマンの

鞄の取手に、小型カメラみたいなの

付いてる!気を付けて。」




ふと、前にいる男の鞄を見た。


黒い小さなものが取手のとこに

ぶら下がっている。


多分、これだ


冷汗。背筋が冷たくなった

私はピシッと座り直した。

前のヤツの顔が見れない。

電車が次の駅についたので止まり、

ドアがあく。


前の男は出て行ってしまった。

横にいたのは女性で

その方にお礼を言った。


その方もしばらくして、降りてった。

そのまま、普通に学校へ。

そのまま、普通に過ごした。





女子高生の頭の中は、

学校のこと

友達のこと

好きな人のこと

親、勉強、将来、趣味

週末の予定、夏休み、冬休み

GW、ハロウィン、旅行、買い物



好きなものと

考えなきゃいけないこと

で頭は埋め尽くされている。



おっさんは、

若い女がどうやら

好きな人が多いらしい。


だが、女子高生からしたら、

おっさんは" 無 "だ。


無。






なし



ーー世界になし



いないもの、と同然。

正確にはいるらしいが、

私の中にはいない。

私の世界には存在してない。



だが、こうして突如、

呼んでもいないのに


世界に割り込もうとしてくる。


邪魔者。

ただの邪魔者である。

不法侵入者だ。

許すまじ。

武士なら、切り捨てゴメン。



これは、自分に害をなしてくる

すべてのものが自分にとっては

ただ邪魔であるし、

目障りでしかないのだ。



私は、好きなもののことを

考えるのに忙しい。

好きな人と過ごすために、時間を使いたい。

好きなことしかそもそも眼中にない。




コレに限らずすべてのことがそうだ。

このまま一生、ブレることのない。

どれだけ邪魔が入ろうとも、

邪魔などさせない。



立ち入り禁止、そいつは死罪なり。

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