第一章:殺意の萌芽

 ちょっとだけ考えるような仕種をみせた嶺垣だったが、どういうわけか困ったように首を横に振った。


「あれ? 見に行かないの?」


「だって、リハーサル見ちゃったら後の楽しみ半減しませんか?」


 変なところにはこだわりがあるらしい。


「それじゃあ、何を見たくてここにきたわけ?」


「何って……、楽屋とか舞台裏でのレイニーはどんな感じなのかなとか、こう、なんていうか普段見られないプライベートな姿なんかを期待して……」


「それってつまり、テレビとかに出てない素のわたしたちが見たいってこと? 今までのイメージとのギャップとか、そういうやつを期待してるんだ?」


 腕を組みつつ、勝ち気な表情を浮かべ天寺が言った。

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