第148話 警報装置

 政治は嫌だ。

 引きこもって魔法研究がしたい。


 それで頼まれていた国境警備用の魔法を作る事にした。

 イメージはこんなだ。


void main(void)

{

 MAGIC *m; /*魔法の定義*/

 TEL *t; /*伝言魔法の定義*/


 m=obj_make(1,IMAGEBALL,HOLOGRAPHY); /*極小のボール生成*/

 t=topen("テニツチスシ"); /*回線を開く相手を指定*/


 while(1){

  if(touch(m)==1){ /*ボールに触った*/

   tprintf(t,"罠1番に触った"); /*メッセージとして送る*/

  }

 }

}


 どこにいても罠に触った事が分かる。

 魔道具によって送るメッセージの番号を変えればどこの場所に侵入したかが分かる。

 問題はメッセージを送る人間が睡眠などで交代する時は魔道具も交換しないといけないところだ。

 もちろん切り替えスイッチを作る事も可能だが、魔力充填の必要もあるから、交代する時に交換で良いだろう。


 暗部の人間を呼び出して出来上がった呪文を教える。


「ヒラニシ・モチニミゆヒラニシよ・が・

モチキニソ・けモレ・

カイリ・けカレ・

モほラコマろモチノイゆヌネニモチキイコチリリネクラリラキスチセクンよレ・

カほカラセイミゆふシチスノセチスカふよレ・

テクニリイゆヌよが・

ニハゆカラナソクゆモよほほヌよが・

カセスニミカハゆカネふ罠1番に触ったふよレ・む・む・む」


 早速使うつもりみたいだ。


「魔法でやる意味があるのか」

「これは便利です。見えない相手でも位置を把握できます」

「状況が思い浮かばないんだが」

「こっちの姿が見えないと、手練はまず煙幕をはります」

「見えない同士にしてしまえば状況は五分になるのか」

「ええ、この魔法を使いこなせれば、そういった状況でも優位に立てます」

「なるほどね」


 そうやって使うのなら接触ポイントは多い方が良い。

 ならこうだな。


void main(void)

{

 char n[4][18] = { "敵は右","敵は前","敵は左","敵は後ろ"}; /*位置データ*/

 MAGIC *m[4]; /*魔法の定義*/

 TEL *t; /*伝言魔法の定義*/

 int i;

 for(i=0;i<4;i++){

  m[i]=obj_make(1,IMAGEBALL,HOLOGRAPHY); /*極小のボール生成*/

 }


 t=topen("テニツチスシ"); /*回線を開く相手を指定*/


 while(1){

  for(i=0;i<4;i++){

   if(touch(m[i])==1){ /*ボールに触った*/

    tprintf(t,n[i]); /*メッセージとして送る*/

   }

  }

 }

}


 こうすればいい。

 ポイントを増やせば増やすほど位置をつかみ易くなる。

 ただ、詠唱は長くなっていくから、魔道具の方が望ましいな。


 魔道具にして暗部に配備する事にしよう。


「魔道具では駄目なのか」

「命がけの闘争をしますと、不測の事態が訪れる事があります。手札は多い方がいいですね」

「詠唱覚えるの大変だろう。秘術を受ければ短い詠唱で行けるぞ」


 暗部にライブラリを使わせよう。

 信用している訳ではないが、反乱の時に素直に退いたご褒美だ。


「手札として受けいれます」

「ちょうど良い全員にドラゴンの前でミニアを裏切らないと誓ってもらおう。隷属させる訳ではないから、安心しろ」

「そうですか。あなたの正体を明かしてくれるのなら、あなたに忠誠を誓っても良いのですが」

「俺は権力なんて要らない」

「今の言葉、長に伝えます」


 そう言って暗部の人間は消えた。

 暗部の忠誠どこまで信用できるかな。

 なんとなく裏切らない気がするんだよ。

 やつらは口約束でも守りそうな気がする。


 ミニアはどう考えているのだろう。


「ミニア」

「なあに」


 豆腐ハウスの中に居るミニアに声を掛けると返答があり、少ししてミニアが現れた。


「暗部って信用して良いと思うか」

「敵対するなら、私の采配が何か間違ったんだと思う」

「そうか、ミニアは信用しているんだな」


「裏の人間はね。仲間を裏切る奴は大抵死ぬ。ただし、理不尽には耐えられない」

「つまり、こちらに落ち度がなければ信用できるって事か」

「ええ、私はそう思う」


 暗部に関してはミニアの方が気持ちが良く分かるみたいだ。

 これは任せてみるしかないか。

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