第86話 魔石ポーション
今、ミニアが出ている講義は呪文学の二回目だ。
「今日はモチニミ神の従属神について話します。従属神としてモチキニソ神、カイリ神、ニミカ神、ソクチス神、リラミキ神が確認されています」
なんじゃそりゃ。
って全部変数の定義部分じゃねえか。
「学会では今、モチキニソ神が物質魔法を司る神とする説が有力です。『けモセレ』というワードが物質魔法を使ってもよろしいでしょうかと問い掛けているとされています」
おお、なんとなく解釈が正解に近い。
だが、これは聞いていても無駄だな。
今日はもう良いか。
ティとの接続を切る。
魔石の液体化魔法について考えた。
魔石って液体化すれば合体が出来るよな。
一度液体化してから固体化すれば結合魔石が作れるんじゃないかな。
でも固体のままでも錬金術士がやっている合成の要領でもなんとかなるな。
両方やってみて答えをだそう。
固体化の魔法は簡単だ。
イメージはこうだ。
char magic_water[100]; /*魔石水100立方センチ*/
void main(void)
{
int i; /*カウンター*/
MAGIC *mp; /*魔法定義*/
for(i=0;i<100;i++){
magic_water[i]=magic_water[i]-LIQUID; /*物質の固体化/
}
mp=magic_make(magic_water,sizeof(magic_water),IMAGEBALL); /*固体を魔法登録*/
magic_trans(mp); /*現象に変換*/
}
水の魔法語には散々お世話になっているから、これで上手く行くはずだ。
次は合成の要領で考える。
char magic_stone1[100]; /*合成する魔石100立方センチ*/
char magic_stone2[100]; /*合成する魔石100立方センチ*/
void main(void)
{
char magic_stone3[200]; /*合成した魔石200立方センチ*/
int i; /*カウンター*/
MAGIC *mp; /*魔法定義*/
for(i=0;i<100;i++){
magic_stone3[i]=magic_stone1[i]; /*魔石の合成*/
magic_stone3[i+100]=magic_stone2[i]; /*魔石の合成*/
magic_stone1[i]=0; /*合成する魔石はなくなる*/
magic_stone2[i]=0; /*合成する魔石はなくなる*/
}
mp=magic_make(magic_stone3,sizeof(magic_stone3),IMAGEBALL); /*合成した物質を魔法登録*/
magic_trans(mp); /*現象に変換*/
}
出来たな。
ミニアが学園から帰るのを待つ。
「おまたせ」
「すまんな、不器用で。ドラゴンは細かい作業は苦手なんだ」
俺は文字を出した。
ミニアを助手にさっそくやってみる。
うん、上手くいったな。
液体の固体化も固体の合成も出来た。
体積比がFランク魔石とCランク魔石では1対2だ。
Fランク魔石二個でCランク魔石が一個出来る。
値段は二倍じゃあない。
十倍にはなる。
とんだ錬金術だ。
これは恐い人達が来るのもうなづける。
ふと考えた。
固体の合成の時に、合成元の魔石を消去しなかったら、どうなるんだろう。
そうすれば魔石が無限に増える。
俺の中のドラゴンが警告を発した。
やばいのだろうな。
神が定めたルールに違反したとかで大変な事になりそうだ。
プログラムの感覚でやっているとこういう所が鈍感になる。
これは魔法だからな。
禁止事項は破れないって事だろう。
二つの方法を比べた結果。
どうやら、液体化したのを固体するより固体のまま合成したほうが良いみたいだ。
ミニアが建国したら、この方法は国の秘術にしよう。
さて魔石の液体化で少し考えた事がある。
液体の魔石で魔道具を作ったらどうなるのか。
非常に興味がある。
「ミニア、手伝ってくれ」
ミニアが俺の爪の上に魔石を置く。
俺は魔石に魔力を込めた。
こうする事でミニアの魔力に染まっている魔石が俺の魔力に染まる。
俺は慎重に爪の上の魔石を液体化した。
液体はミニアが頭の上に掲げた洗面器の上に落ちる。
液体魔石をライトの魔道具にするために俺は魔法を発動した。
ミニアが液体の中に指を入れ灯りを灯す。
おお、すんなり出来たな。
液体なら飲む事が出来る。
飲ませてみるか。
何に飲ませよう。
兎辺りどうだろうか。
俺は森に行って兎を一匹従魔にした。
「兎に名前つけて良い」
「ああ、良いぞ。すぐに解放する予定だから、あんまり情を持つなよ」
「あなたは茶色いからチョコ」
液体魔石の魔道具は名前を魔石ポーションとした。
「ちょっと止めて。やだ、そんな所に首を入れないで。そこは駄目」
兎に魔石ポーションを飲ますのにミニアは悪戦苦闘した。
「ガァー」
俺が殺気を込めて吠えると兎は硬直した。
ミニア、今のうちだ。
兎は魔石ポーションを飲み込みライトの魔法を発動した。
なんともないのか。
副作用とかないのか。
まあ、魔石も元は体の中にあったものだから、毒の可能性は低いと思う。
一時間たっても兎はぴんぴんしていた。
この薬の利点は何だろう。
魔石の合成は液体を混ぜるだけで可能だから、材料はFランク魔石で良い。
これは利点だ。
使用は一回のみだな。
これは欠点だ。
証拠が残らない。
これは利点だ。
なにしろ飲んでしまうのだからな。
合成魔石が作れる俺にとっては別に必要ない技術だな。
作った魔石ポーションを小分けにしたら、どうなるのだろう。
やってみるか。
兎に半分にした魔石ポーションを飲ませる。
発動しない。
そりゃそうだよな。
プログラムぶった切れば発動しない。
容器についている分はどうなんだ。
五分ほど少なくした魔石ポーションを飲ませる。
発動したな。
これはあれか。
コンパイルした魔法には余分な物が付いているって事か。
深くは考えないようにしよう。
合成魔石は魔道具にしてから売り捌くのが得策だろう。
高級品路線の送風機も気兼ねなく作れる。
タルコットがまた喜びそうだ。
それより先にミニアを強化しないとな。
合成魔石ならSランクの物も簡単に作れる。
魔力が沢山必要な転移とかの魔道具も楽勝だ。
学園にいるうちは使わないだろうけど、備えは幾らあってもいい。
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