第5話 飾らない女、うみ

 うみ「なぁ未咲、お前はそれでもし続けるのか?」

 未咲「すごく唐突だね……」


 ある日、うみちゃんから突然そんなことをかれた。

 うみちゃんにとっては、とてもその光景が奇妙に見えているらしい。

 わたしは顔から汗を垂れ流しつつ、薄ら笑いを浮かべていた。


 うみ「いくら冬だからってよぉ、そんなにやっちまうことねーって」

 未咲「そうかなぁ……」


 そう、未咲は人一倍やってしまう。

 それがあたしにとっちゃ、不思議以外の何物でもない。


 うみ「直そうとかさ、思わないわけ?」

 未咲「思うもなにも、昔からこうだし……」


 いまさら直るわけがない、とか考えてそうな顔してやがる。


 うみ「そういや春泉、きょうは学校来てねーんだって?」

 未咲「うん、なんかまた風邪引いちゃったみたいなんだ……」

 うみ「妹たちの世話してるとはいえ、あいつはあいつでなんか病弱だな……」


 まったく、あたしにはわからないことばかりだ。


 うみ「玲香は楽器だろ、ロコの世界観は……うん、あたしにゃさっぱりだ!」


 やっぱ着の身着のままがいちばんだよな、とそこにあった菓子をつまんだら。


 瑞穂「あーっ、そのお菓子、わたしが大事にとっておいたのに!」

 うみ「あー、これお前のだったのか……すまん、後日奢るから!」


 あたしはあたしで、もうちょい冷静にあたりを見渡すべきだな、と反省した。


 うみ「ていうか、学校にお菓子持ってくんなよ……」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る