模擬戦終了
「うっ……く……」
気がつくとミッシェルはいつの間にか自身のゴーレムトルーパーの操縦室ではなく、模擬戦が行われていた草原で横になっていた。
「ここは……?」
「気がつきましたか?」
ミッシェルが上半身を起こして呟くと、彼の隣にいたマリーが話しかけてきた。
「マリー……?」
「ミッシェルさんは模擬戦でザウレードの攻撃を受けて今まで気絶していたのですよ」
「何っ!?」
マリーの言葉にミッシェルが慌てて周囲を見回すと、すぐ側に機体を損傷して横倒しになっている自分のゴーレムトルーパーの姿が目に入った。そしてもう一度改めて周囲を見回してみれば、他のソル帝国側のゴーレムトルーパー三体も、ミッシェルの機体と同じくらいに損傷して動きを止めているのが見えた。
模擬戦はすでに終わっており、この状況を見ればソル帝国と合同部隊、どちらが勝利したのかは明白で、ミッシェルは力なく呟いた。
「……そうか。私達は負けたのか」
「はい。……その、すみません」
今回の模擬戦の作戦を考えたマリーは、ミッシェルの呟きに答えてから小さく頭を下げて謝罪をする。それによって一つの確信を得たミッシェルは彼女に話しかける。
「やはりあの作戦はマリーが考えたものだったか。私達の隙や弱点をこれでもかと突いた見事な作戦だった。お陰で私達全員がしてやられたよ」
ミッシェルの言葉は心から本心であった。
始めて見る遠距離からのドランノーガの砲撃。
ソル帝国のゴーレムトルーパーと相性が悪い足場。
そしてザウレードに乗る単なるお飾り操縦士だと思っていたブリジッタの活躍(実際には同乗していたカーラの活躍なのだが)。
これらの要素をただ使うだけならばミッシェル達も苦戦はしても、ほとんど何も出来ずに終わることはなかったはずだ。それをミッシェルの行動を知り尽くしたマリーが適切なタイミングで組み合わせることで今回の結果となったのだ。
「しかしマリー、何故お前が謝るのだ?」
「え?」
ミッシェルは頭を上げて疑問の表情を浮かべるマリーに笑いながら言う。
「お前はソル帝国の『大いなる光』ではなく、合同部隊の一員として全力を尽くしたのだろう? それに模擬戦でお前が言ったあの言葉……」
そこまで言ったところでミッシェルは、マリーが言った彼女が合同部隊でザウレードを使用されるのを認めた理由を思い出す。
父親の敵であるザウレードを受け入れ、こうして自分達を倒せるだけな力を見せられたミッシェルは、マリーを心配して合同部隊に参加するとこを反対する理由がなかった。
「マリー、しっかりやれよ。『大いなる光』の、ソル帝国の名前を決して汚さないようにな」
「はい!」
ゴーレムトルーパーの操縦士に選ばれる前から目をかけてくれて、これまで戦い方を教えてくれた師の言葉にマリーは力強く頷いた。
こうして合同部隊とソル帝国の模擬戦は、合同部隊の勝利で終わったのだった。
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